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標準化はどこまで細かくすべきか

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.プロセス、ルールなどの準備は、どこまで細かいものを揃えた方が良いでしょうか?


A.ここでは、プロセスやルールをまとめて便宜上「標準化」と表現します。オフショア開発の標準化について、実務者から寄せられる相談の重要ポイントは以下の2つです。

1)事前にどこまで細かいモノを揃えるか
2)どのように運用するか


今回は(1)に関する質問です。オフショア大學では、標準化のツールを2つに分類します。

1-1) 概要レベル → 指針/ガイドラインなど
1-2) 詳細レベル → コーディング規約、運用マニュアルなど

前者(1-1)は普遍的な原理原則で構成されます。コーディングに関する原則であれば「全ての公開関数には、利用者向けのコメントを詳しく記載すること」など。異文化コミュニケーションに関する原則であれば「中国人は何より面子を重んじるが、日本のソレとはかなり異なるので注意せよ」など。

概要レベルの指針は、社内教育の標準テキストとして利用すると効果的です。オフショア大學では、事例研究と併用する指導が主流となっています。


一方、後者(1-2)は状況依存することを前提に詳しく書くべきです。どれくらい詳しく書くかよりも、何を詳しく書くかに着目するとよいでしょう。原則として、日本国内で閉じる範囲であれば、さほど詳しく標準化する必要はありません。

一方で、海外オフショア委託先が関連する範囲、例えば「毎週の進捗会議用のためのTV会議開催法」なら、作業手順だけではなく各タスクの中間生成物とその評価基準まで、数値データを用いて詳しく定義します。

オフショア PMOなどのスタッフ部門ではなく、現場が自らの手で直接、作成・更新する仕組みを作ってあげると効果的です。オフショア大學では、実務者以外のスタッフ部門が詳細レベルのプロセス・ルールを整備したって、現場ではほとんど役立たないと説きます。
たとえ内容がまともであっても、現場ではほとんど運用されないからです。

もし、海外のオフショア委託先にプロセスやルールを導入したければ、「先週入社した業務歴2年の中途採用プログラマが周囲に質問しなくても完璧に作業できる」レベルで、詳しく文書化します。


標準化のコストはバカにならないので、現状の問題点をよく分析して、必要最低限のプロセス・ルール整備から着手するとよいでしょう。

ほとんどのオフショアPMO は、プロセス・ルール整備そのものが人事考課の対象となってしまうため、標準化がもたらす結果にまでは関心が行き届きません。しかも、オフショア開発スタッフ部門の多くは実務を抱えた兼務者であることから、「作りっぱなし」で放置される標準化が目立ちます。

悲しいかな、これがオフショア開発における標準化活動の現実です。

だからこそ、オフショア大學では、標準化活動を概要レベルと詳細レベルに大別して、スタッフ部門は主に「概要レベル」に注力するよう助言しています。

一方で、もしあなたがオフショア現場の実務者なら、いつかは詳細レベルの標準化に着手しなくてはいけません。あなたの組織が、人海戦術によるコスト削減を目的とするオフショア開発を目指すなら、詳細レベルの標準化は避けて通れない道だと自覚しましょう。もし、あなたが詳細化を嫌うなら、あなた自身がバイリンガルSE/PMとなって、海外オフショア委託先に長期間駐在する覚悟を持ちましょう。


■ 問いかけ

<問1>オフショア開発プロジェクトで標準化すべき重要なプロセスやルールをたくさん挙げなさい。

例:国際会議の実施マニュアル(電話、テレビ、対面式・・・)


<問2>あえて詳細に標準化しなくてもよいプロセスやルールを挙げなさい。

例:障害分析レポートの記述法(記載事項と体裁・テンプレートを定義すれば十分)


<問3>エリート意識の強い海外オフショア委託先のSEに対して、詳細レベルの標準化を要求すれば、彼らのモチベーションを下げてしまう恐れがある。もし、あなたの同僚がこのような悩みを打ち明けたら、あなたはどう助言しますか。


<問4>ただでさえ忙しい日本現場に詳細レベルの標準化を要求すれば、彼らの不満が爆発してしまう。そもそもオフショア活用だって現場は反対だったのに・・・。もし、あなたの同僚がこのような悩みを打ち明けたら、あなたはどう助言しますか。


追伸

今日の質問の範囲外でありますが、詳細レベルの標準化を現場にうまく定着させるコツがあります。ま、そりゃ、そうですねよ。


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