« こちらから相手の個人領域に足を突っ込む | Main | 中国人は金融系オフショア開発がお嫌い? »

テストや品質の意識乖離(過去記事リスト)

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.オフショア開発のテスト(単体、結合)について、日本と海外勢との間に意識乖離はありますか?(ある/ない)

A.ある。一般に、テストに限らず「品質意識」全体に関して、日本と海外オフショア委託先との間には大きな意識乖離があります。まず、日本と海外オフショア委託先の品質意識の違いは、主に2つの原因から生じます。

1つ目は国民文化の違い
2つ目は経験不足による考慮不足


日本と海外オフショア委託先の品質の違いについて、2014年6月現在、オフショア委託先の成熟度がよほど低くない限り、必ずしも「国民文化の違い」が主たる原因ではないと考えた方が無難でしょう。

まずは、両国のプロジェクトメンバーの平均年齢、職務経験を比較してください。同時に、プロジェクトメンバーの人口ピラミッドを図示するとよいでしょう。もしかしたら、あなたのプロジェクトでも、「経験不足」による考慮不足が、品質の違いをもたらす原因かもしれません。


以下、参考までに、オフショア開発におけるテストや品質意識に関する役立つ過去記事をいくつか拾い上げます。事例や詳細解説に興味のある方は、後でじっくりご覧ください。

日本と中国の品質作り込みに関する考え方の違い
→システム全体を俯瞰しないまま、近視眼的にテストする中国オフショア委託先。どのように改善すればよいでしょうか?

レビュー結果をMLで全体通知したら個人の面子は潰れるか?
→中国オフショア拠点で集団レビューが機能しない原因の1つは、従業員の面子が邪魔をするからです。すなわち、改善活動という組織の全体最適よりも、個人の面子を守るという個別最適を優先してしまう国民性が影響していると考えられます。

ソフトウェア品質に関する「暗黙の前提条件」の誤差調整
→中国側の視点では、日本人は費用対効果を分析せぬまま割に合わない品質向上の努力を繰り返しているように感じられます。最近「ガラパゴス化」と揶揄される日式家電の過剰高機能化も好例です。

「高品質は暗黙の前提条件」を中国は受入れるべきか
→日本都合の厳しい納期に間に合わせた根性は有り難いが、品質劣化は認められない。もし品質水準を保てないなら、コーディング生産性が高いとは言えない。

日本的柔軟性や行間を読む力は「魅力的品質」か?
→コメント欄が盛り上がっています。

■ 問いかけ

<問1>2014年現在、中国オフショア委託先でのテストにおいて、最もよくある問題は何でしょうか? 設問では、あえて対象業務/利用技術やツール等を限定しません。あなたの実体験を元にお答えください。

20140612_2


<問2>中国オフショア委託先でのテストでよくある問題の傾向は、10年前と現在とで違いますか?(同じ/違う)


|

« こちらから相手の個人領域に足を突っ込む | Main | 中国人は金融系オフショア開発がお嫌い? »

Comments

日本語がおかしい事を「問題」ととらえる(対策を講じていない)場合には、もっとも良くあるので。

Posted by: 川口 | June 13, 2014 at 12:28 AM

川口さん、コメントありがとうござます。日本語は軽微な問題(不具合=バグ)かもしれませんが、確かに頻度は最も高そうです。

Posted by: 幸地司 | June 16, 2014 at 10:53 AM

データがヒットしなかったとき、NULL値がはいっているとき、などなど、共通的なルールをきめていても、守らない。テストしない。正しく通るデータでしかテストしないので、試験でみつからない、ということに困ったことが多々ありました。

Posted by: 江藤 | June 20, 2014 at 10:59 PM

江藤さん、現場の香りがプンプン漂う失敗事例紹介、誠にありがとうござます。

こんな事例を思い出しました。ご参考までに!

【テストの地獄例】
東京から大連の開発子会社にちょっとしたツール作成を依頼した。規模は小さいものの、人工知能(AI)を応用した複雑な認識アルゴリズムを搭載する予定である。

ツールの成功の鍵は、認識アルゴリズムの精度である。東京側の発注者は、早い段階から何度も仮納品させて、東京で実データを用いた試験を繰り返した。

初めて納品されたツールの認識精度は、思いのほか上出来だった。周辺moduleとの接続I/F部分に多少の不具合はあるものの、本案件の命ともいえるアルゴリズム実装には十分な手ごたえを感じた。

ところが、実データを用いた試験を繰り返すうちに、ある異変に気づいた。大連に提供したサンプルデータを用いた現地試験は完璧にクリアするものの、ちょっとでもテストデータに変化を加えると、途端に精度ががた落ちになってしまう。

また、当初はあまり重要視していなかったI/F部分も問題が収束しない。結局のところ、

仮納品→試用(東京)→バグ検出→修正(大連)→仮納品→・・・

この繰り返しで、時間があっという間に過ぎていく。

あまりにも酷い状況に焦る発注者。急遽大連の飛んで、現地担当者と認識アルゴリズムを詳細にレビューした。すると、手ごたえを感じていた認識アルゴリズムの大半は汎用性を欠く実装となっていた。すなわち、特定条件でのみ正しい認識結果を返す実装。

プロジェクト終盤になって、コアアルゴリズムの再設計を余儀なくされた。結局、最初から、自分でやった方が早かった。

Posted by: 幸地司 | June 26, 2014 at 11:12 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« こちらから相手の個人領域に足を突っ込む | Main | 中国人は金融系オフショア開発がお嫌い? »