ソフトウェア技術者の価値基準6段階
今日はお盆休み気分が抜けないので軽い話題で肩慣らし。
来週から、オフショア大學事務局を運営する関連会社で、大学3年生を対象にインターンシップ・プログラムを実施します。具体的には、ソフトウェア業界をまるで知らない学生らにスタッフのカバン持ちをさせながら、社会人の空気を感じてもらいます。
私はオフショア大學を代表して、学生の就活に役立つ社内講座を受け持ちます。講座では、学生の関心が高い項目に絞り込み、かつ、ネットや書籍では得られない現場の生の感覚を学生にお届けします。
●日本人ソフトウェア技術者の価値
とりあえずインターンシップに挑戦したものの、ソフトウェア業界の実態を全く知らない学生に向けて、ソフトウェア技術者として目指すべき段階的な成熟度(目標設定)について紹介します。
以下は、単純な技術力ではなく「価値」を基準に目標設定しました。あくまでも本誌発行人の独断と偏見ですが、国内外の若いソフトウェア技術者が目指すべきキャリア指針となると確信します。
(1) 生産性が高い人
(2) バグの少ないソフトウェアを作る人
(3) 使いやすいソフトウェアを作る人(親切I/F・優れた保守性)
(4) お金を稼ぐビジネスモデルをITで構築する人
(5) 大勢が好んで再利用するソフトウェア部品を作る人
(6) ITを利用した新しい儲かるビジネスモデルを構築する人
※数字があがれば上がるほど価値が高いことを示します。
レベル0
上記のレベル1の価値さえ満たさないソフトウェア技術者は、将来オフショア開発によって代替されるか、オフショア委託先と同程度の給与水準に甘んじます。いわゆる「平凡な技術者」です。
レベル1
ソフトウェア技術者として価値が生まれるのはレベル1からです。
レベル2
多くの会社で、オフショア委託先の20代技術者に要求するのがレベル2の成熟度でしょう。平均以上の生産性を保った上で高品質を実現すること。ここでは、高品質=「バグが少ない」と定義します。
レベル3
なお、レベル2とレベル3の間には越えられない壁があります。日本語能力検定N3とN2の格差がちょうどそんな感じです。一般に、使いやすいソフトウェアを作る技術者は、ドキュメント作成能力にも長けます。
残念ながら、中国オフショア委託先で優秀だと称されるSEの大半はレベル3の壁に阻まれます。実際には、将来レベル3を目指せる有望な若手SEは大勢いますが、彼らが現場で3-4年経験を積むと、途端に技術者としてのキャリアから逸れて、BOSS(管理者)として出世の階段を駆け上がるキャリアに路線変更します。すると、技術者としての成熟度はレベル2に停滞したまま、年齢を重ねることになります。
レベル4
レベル4は、優秀な経営コンサルタントとての能力を併せ持つSEはです。レベル3から成長した技術指向のSEもいれば、レベル2から一気に才能を開花させるビジネス指向のSEもいます。残念ながら、SI企業で請負開発プロジェクトに参画するだけでは、このレベルに到達できないでしょう。
レベル5
レベル5は、ソフトウェア技術者としての最高峰です。世界中で使われるフリーソフト/シェアウェアの作者、OSS 界隈で大活躍する職人。あるいは、小規模であっても、社内で標準的に活用される Frameworkを作成し、保守サービスする縁の下の力持ちなどが相当します。レベル4を経由せずレベル5に到達する技術者もいます。
レベル6
最後のレベル6は、ソフトウェア技術者というよりも優れた起業家に相当する高業績者の成熟度です。誰もが目指せる領域ではありませんが、参考までに定義します。
■ 問いかけ
<問1>グローバルで活躍するソフトウェア技術者として最低限、満たすべき成熟度はレベル1-6のどれか? とりあえず、英語はできる前提とします。
(1) 生産性が高い人
(2) バグの少ないソフトウェアを作る人
(3) 使いやすいソフトウェアを作る人
(4) お金を稼ぐビジネスモデルをITで構築する人
(5) 大勢が好んで再利用するソフトウェア部品を作る人
(6) ITを利用した新しい儲かるビジネスモデルを構築する人
◆その他
締切:2014年08月24日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/
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<問2>あなたの組織でも、日本人のインターンシップ学生を受け入れることになりました。一人の学生が「上記レベル1の成熟度すら自分は怪しい」とSE就職に自信を失いかけているとします。あなたは、先輩社会人として、どう声をかけますか。
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