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インド現場が業務の重要性を理解していない

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.当社は、半年前からインドオフショア開発に取り組んでいます。

オフショア先では、いまだに委託業務の目的や機能の意義を理解せずに単にツール作成の延長として、作業にあたっている印象です。当社の業務は、社会インフラの一端を担うものです。ひとたびシステム障害が発生すると、多方面に甚大な影響がおよびます。一体、どうすれば、オフショア先に業務の重要さや社会的意義を理解してもらえるでしょうか。


A.難問です。

全ての技術者が日本語を学び、日本文化に触れる機会が圧倒的に多い中国オフショア先でも、同様な悩みが起こります。ましてや、中国よりも役割分担に敏感で、かつ、日本語を学ぶ意欲ゼロのインド人集団が揃う現地では尚更困難でしょう。

オフショア開発実践セミナーでは、全米で注目を浴びる自動車関連のリコール事案を用いて、これまで希薄だった中国人若手技術者らの品質意識を劇的に改善した事例を取り扱います。特に「中国」に特化した手法ではないため、恐らくインド現地の意識改善にも適用できるでしょう。


「リコール」事案を用いたオフショア現場の意識改善について、参考になる過去記事をいくつか列挙します。

外国人にも通じやすい背景説明
オフショア開発やりがい成熟度の三段階


近年、インドオフショア現場でも、メンバーの低年齢化が進んでいます。システム運用経験のない若手プログラマに「社会インフラ」の重要性を口でどう説明したって、決して心底理解してもらえるはずがありません。

よって、理想的な解決策は以下の通り。実際の現場では、一般論など役立たたいので、実態をよく分析した上で「原因」に応じた適切な対策を打たねばなりません。

・短期

目標の見える化。特に「当たり前目標」と「魅力的目標」を明確化すること。目標達成と個人評価の関係を明確化し、対象業務の重要性を「意味」ではなく「数値」で理解させる。

・中期

目標の構造化。上位の目標から下位の目標に流れるように要素分割。最上位が企業理念や方針に基づく目標、次いで企業戦略レベル、人材マネジメントレベル・PMOレベル、プロジェクトマネジメントレベル、最後に技術・ツールのレベルの目標。上と同様に、目標達成と個人評価の関係を明確化します。上とは違い、対象業務の重要性を「意味」で理解させる。

・長期

インド人キーパーソンを日本の現場に招聘して半年以上修行させて、対象業務=社会インフラの重要性を肌感覚で叩き込む。


目標の共有化に関する過去記事:

オフショア保守における温度差

■ 問いかけ

<問1>2014年12月現在、米国ではTAKATA社のリコール問題が大騒ぎになっています。この事案を使って、インド現場の「品質意識」を向上させる施策を考えなさい。


<問2>インドIT各社は、世界的に有名な金融機関や航空会社のバックオフィス業務をオフショアリングで請けています。その結果、それなりに安定した運用実績を誇ります。

上記が正しいと仮定します。

いわゆるミッションクリティカルな業務のオフショアリング受託で実績のあるインドIT各社は、どのようにして、若手中心のインド人技術者に業務の重要性や品質意識を叩き込んでいるのでしょうか。

中国やアジア諸国との共通点やインド固有の事情を考慮して、いくつかの仮説を立てなさい。

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進捗報告で誤解を招くインド英語の時制・態・相

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.当社は、半年前からインドオフショア開発に取り組んでいます。定例の進捗会議で、オフショア側がこちらの質問には直接回答してくれません。会議で、オフショア側が作業を「やった」と言ったのに、実際には「着手済だけど未完了」であったり、逆に、いつまでも進捗 100%にならず心配していたら、実はとっくに作業完了していた! なんてこともしばしば。どうすれば、オフショア側から正確な進捗報告があがってくるようになりますか?


A.オフショア開発でよくある進捗確認の齟齬にはいくつか典型的な原因があります。よくあるのは、単純な言葉の壁、オフショア側の経験不足による誤判断、など。

さらに、稀に、以下の原因によってコミュニケーション齟齬が発生することがあります。

・インド英語と標準英語では、時制・態・相の表現が異なるから

 インド: I have read the specification yesterday.
 標準英: I read the specification yesterday.

恐らく、ヒンディー語やベンガル語の文法がインド英語に影響を与えていると推測されます。

※参考:榎木薗鉄也(2012)、インド英語のリスニング、研究社

ついでに、中国オフショア開発でありがちなコミュニケーション齟齬についても考察します。中国語と日本語も時制・態・相の表現が異なるため、進捗報告の場面で想定外のトラブルが発生することがあります。詳細は、以下の過去記事をご覧ください。

- いきなり「データを更新しませんでした」の理由
- 「今日終わります」は既に完了済み


■ 問いかけ

<問1>受験英語でよくある単純な文法問題です。英語の時制・態・相の表現を考慮して、以下のインド英語が誤解される理由を簡潔に述べなさい。

インド: I have read the specification yesterday.
標準英: I read the specification yesterday.


<問2>インド英語の特徴を以下の選択肢から1つ選びなさい。

「ホテル」の意味で、"restaurant" を用いる
「すいません(excuse me)」の意味で、"hello" を用いる
上位者への呼びかけで、"-sama"を用いる(例:boss-sama)
出身地を聞く際に、"What is your good place?" を用いる

結果を見る

締切:2014年12月24日18時
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

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バイリンガル日本人がインドから軽んじられる

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.当社は、半年前からインドオフショア開発に取り組んでいます。発注先は、親会社から紹介された数万人規模の会社です。ほぼ全方位であらゆる業務に対応してくれますし、社内の技術教育体制もしっかり整備されている印象です。ところが、唯一、日本語だけは、満足に対応できません。

そのため、インドオフショア開発に着手した初期の段階から、英語が堪能な日本人(男性)がオンサイト要員としてインド側から当社に派遣されました。

ところが、この日本人が、技術音痴の単なる英語屋であることは、誰の目にも明らかです。しかも、この日本人は、インド側で稼働するインド人技術者から軽んじているようです。

そのことは、日本側の現場メンバーは知っていますが、オフショア推進を統括する部長(親会社から出向)は全く気づいていない様子です。この先、一体どうすればよいでしょうか。


A.オンサイト側の日本人がオフショア側の技術者から軽んじられる事例は、あちこちで確認されています。主な理由は2つあります。

1)日本人は技術力が低いから

2)日本人にありがちな「曖昧さ」や相手の気持を配慮した「遠慮や謙遜」が、弱さと誤解されるから


上記相談について、教科書的には「オンサイト要員の交替」が正解です。ところが実際には、親会社の意向など、相談者の口からは発せられない裏の事情が存在するため、安易な対策は功を奏しません。


■ 問いかけ

<問1>なぜ「日本人は技術力が低い」とオフショア先の技術者に思われるのでしょうか。それは誤解ですか? それとも、正当な判断ですか? あなたの考えを述べなさい。

<問2>日本人にありがちな「曖昧さ」「遠慮」「謙遜」がインドオフショア開発に与える影響を分析しなさい。もし可能なら、具体的な事例を挙げるとよいでしょう。


※ヒントは今年最後のオフショア開発実践セミナー(12/22)にて

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日本側は努力するのに海外勢は受け身、不公平では?

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.日本側はオフショア開発のために努力しているのに、海外側が日本のために努力する姿勢がほとんど感じられません。どうすればオフショア現地の技術者が日本側に歩み寄ってくれますか?
念のため、当社に常駐する一部のオンサイト要員(ブリッジSE等)の頑張りは認めますよ。


A.一般に、海外オフショア勢の方が、日本側よりも相手に歩み寄る努力を重ねています。特に言葉の習得と文化の違いを埋める努力は、オフショア勢の方が圧倒的に時間とコストをかけています。

ただし、国や地域によって、相手に歩み寄る姿勢には温度差があるのも事実です。


・中国

全ての技術者が日本語を学習。開発プロセスや評価基準も顧客要望にできるだけ沿う姿勢。規則よりも人間関係を重視する中国文化は、日本人顧客を意外に満足させることが多い。


・ベトナム

基本姿勢は中国と同様。ただし、日本語の壁は大きいため、技術音痴の未熟な通訳/コミュニケーターによって、両国の相互協力の雰囲気が台無しにされることがある。


・インド

日本語への対応は未熟で、かつ、積極性が感じられないことが多い。自社流の開発プロセスを頑なに貫く姿勢が目立つ。組織構造も日本企業とは全く異なるため、持続的改善の感覚が日本人とズレる恐れあり。一方で、オンサイト要員としてはバイリンガル日本人を起用、インド現地でも日本時間で稼働、日本都合の緊急事態であっても必死に残業対応、日本が祝日であっても現地では通常対応、等は有名。


■ 問いかけ

<問1>日本がオフショア側に歩み寄る努力とオフショア側が日本に歩み寄る努力をそろぞれ数値化しなさい。例えば「◯:◯」の比較形式。もちろん、あなたの主観評価で構いません。

・中国
・ベトナム
・インド
・その他の国や地域


私の見解は、12/22セミナー会場にて:

2014年最後のオフショア開発実践セミナー(1日集中コース)
日時:2014年12月22日(月)9:30-17:30
場所:オフショア大學 新横浜セミナールーム
http://www.offshoringleaders.com/seminar20141222/

なお、問いかけのヒントは、毎回メルマガの末尾に掲載されています。

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