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上司に『ノー』と言えない、論争もダメ

今週の東洋経済ONLINE より。

(1) 人前でしからないで(日本人上司への不満)
(2) 日本人上司には『ノー』と言ったり、論争したりしてはダメ
(3) 若い日本の男性はすぐに威張って上下をつけたがる
(4) 終日何も食べずに働き、さらに残業までする日本人は???
(5) 集団で仕事をするのが苦手
(6) 会社ではきちんとした人が、飲み会ではハメを外すので唖然
(7) 『すいません』と、どこでも何度でも謝られるのに違和感
(8) ミスをしたら『微笑み』が謝罪のサイン
(9) 時間どころか日付を守る習慣がない、官庁や役所でも
(10) 「私たち国民は勤勉だ!」と言い切る

今日もオフショア開発に役立つ情報を補足説明します。

(2) 日本人上司には『ノー』と言ったり、論争したりしてはダメ

この発言者はベトナム人女性です。一般に、ベトナムでは年長者や肩書を持つ役職者は無条件で偉いと認知されます。政治家・役人・会社員などあらゆる方面で役職が上になればなるほど、圧倒的な特権を手に入れますが、周囲はこのような不平等さを受け入れています [1]。

この傾向は中国やインドでも同様です [2]。


では、なぜ発言主は(2)のように発言したのでしょうか。

それは、職場における平等意識が日本よりもはるかに強く意識されているからです [3]。特に、高学歴でそれなりに社会的地位のある技術者は、公共の場においては相手が上司だろが顧客だろが、人は互いに平等だとの意識を強く持っています。

さらっと書きましたが「職場」=「公共の場」が重要ポイントです。


また、日本以外のほとんどのアジア地域では、「会社に骨を埋める」との感覚を持ち合わせていません。俗にいう、外国人は会社への忠誠心に乏しい現象です [4]。なぜなら、アジアの民間企業には、終身雇用の習慣がほとんどないからです [5]。

発言主のベトナム人女性にとって、現在務める日系企業は、お金を稼ぐ手段の一つに他なりません [6]。たまたまこの会社にご縁があったので、在職中はそれなりに愛着を持つものの、それは日本人が想像する忠誠心とは全く異質の感覚です。

発言主のベトナム人女性にとって末永くお付き合いする人、例えば親戚の偉いオジサン、に対しては、無条件で一歩後ろに下がる謙虚な態度を取らざるを得ないでしょう。

ところが、発言主のベトナム人女性にとって、今いる会社の日本人上司は末永くお付き合いする相手ではありません。恐らく、転職すれば、綺麗さっぱり縁が切れてしまう程度の人間関係です。

たとえ、今の日本人上司と相性がよくても、末永くお付き合いする相手でなければ、基本的には平等意識が強く働きます。この感覚が、元の発言(2) 「日本人上司には『ノー』と言ったり、論争したりしてはダメ」を生み出した要因です。


※注意
以上は、あくまでも一般論です。文化的差異だけではなく個人差にも配慮しないといけないのは言うまでもありません。例えば、涙を流しながら退職届を提出するベトナム人女性スタッフもいます [7]。


■ 問いかけ

<問1>一般に、ベトナムでは年長者や肩書を持つ役職者は無条件で偉いと認知されます。政治家・役人・会社員などあらゆる方面で役職が上になればなるほど、圧倒的な特権を手に入れますが、周囲はこのような不平等さを受け入れています。

上記はベトナムや中国・インドの典型的な文化的特徴です。この文化的特徴を「権力の格差」とも言います。オフショア大學でも頻繁に引用する「権力の格差」という言葉を生み出した有名な研究は何ですか。


<問2>ホーチミンには、ベトナム人女性と結婚した日本人男性が集まる親睦会「恐妻会」があります。一般に、ベトナム人女性の嫉妬心の強さは有名です。ベトナム人女性の強烈な嫉妬心を生み出す原動力は何でしょうか。


<問3>アジア全体の視点で考えた時、従業員が上司に『ノー』と言う、あるいは、気軽に論争する雰囲気は許容されますか?(Y/N)


※参考過去記事
[1] 従業員は権威を持つ者にそれなりの敬意を払う
[2] インド人は肩書きが大好き
[3] 「お客様は神様です」を外国人に押しつけるな!
[4] 日本企業で活躍したければ会社に魂を売りなさい
[5] 終身雇用はオフショア開発業界に必要ですか
[6] 「キャリア機会の追求」に隠された本音
[7] 信頼する部下からキャリアアップ退職を相談されたら

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