信頼する部下からキャリアアップ退職を相談されたら
今月、オフショア大學では「ベトナム」に特化したオフショア開発実践セミナーが開催されます。そこで今日は、セミナー受講者の事前学習のために、ベトナムに関する事例を1件。
いささか古い話題で恐縮ですが、ベトナム・ホーチミンの小規模な日系事務所であった悩ましい事案を紹介します。出典はOVTAレポートです。事例の理解を助けるために、私が原文を修正しています。
【事例】日本人所長と現地職員との信頼関係
当社のホーチミン事務所には、所長である日本人の私と現地採用された女性秘書の2名のみでした。彼女は日本語がまったくできませんが、英語が堪能で、業務をテキパキとこなすしっかり者でした。
ところが、ある日突然、彼女から「日本語学校に合格した」と告げられました。同校は2年間のフルタイム制なので、退職して入学するか、入学を諦め現職を続けるかの二者択一で悩んでいるとのこと。そこで、所長の私に相談してきたとのことです。
私の任期は2年なので、彼女にはこのまま現職を続けて欲しいのが本音です。その一方で、有能な若者ゆえにせっかくつかんだチャンスを最大に生かして新しい人生を送らせてやりたいという気持ちも持っていました。
そこで私は、同校に常駐する日本人理事と面談し、率直な意見を聴取するなどして、彼女の相談に真剣に対応しました。最終的には、大事な自分の人生の問題だから熟慮して自分で結論を出すようにアドバイスしました。
・・・1週間後
彼女から「日本語学校に入学する」との報告を受けました。申し訳ないと涙を流しながら退職願を提出しました。
・・・2年後
私は任期を終えて帰国しました。彼女は日本語学校を卒業後、私の後任者によって再雇用されたそうです。ところが、理由はわかりませんがすぐに退職してしまい、その後も他の日系企業に入社したかどうかは不明です。
私は、日本語学校入学が、彼女の人生にとって本当にプラスになったか疑問が残ります。相談を受けた時、思い切って退職を思い止まるようにアドバイスすべきであったのだろうかと後悔することもあります。
参考:ベトナムの日系企業が 直面した問題と対処事例、財団法人 海外職業訓練協会(平成20年3月)
■ 問いかけ
<問1>上記事例で、女性秘書は退職して日本語学校に行くべきかどうかを所長に事前相談しています。この行為は、ベトナム文化の特徴ですか?(Y/N)
<問2>上記事例で、女性秘書は涙を流しながら退職届を提出しました。この行為は、ベトナム文化の特徴ですか?(Y/N)
<問3>日本語学校卒業後、再雇用された彼女は、すぐに退職してしまいました。その理由を予想しなさい。また、その理由はベトナム文化の特徴ですか?(Y/N)
<問4>もし、あなたが2年前の所長の立場なら、信頼する女性秘書からの相談に対して、どうアドバイスしますか。
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