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もしおかしなところがあればご指摘ください、と仕様提示

ある日、組込系オフショア開発の発注元で働く中堅日本人技術者のもとに、海外の委託先から以下のメールが届きました。

仕様変更されたプログラムを更新しました。あまり自信がないのでチェックをお願いします。

なお、当該プロジェクトでは、基本設計は日本側で、詳細設計から結合テストまでは海外オフショア側が担当する役割分担です。ちなみに、上記の日本人技術者は設計とベンダー窓口を兼任しています。


このメールを受信した中堅技術者は「オフショア先は自分の手がけた仕事の品質を発注者に尻拭いさせるつもりか」と憤慨しました。独り言のように海外の悪口を撒き散らす中堅技術者に対して、先輩格のプロジェクトリーダーが声をかけてきました。


先輩:今回は仕様変更が多発しているようですが、顧客はどうおっしゃっているのですか?

中堅:肝心のハードウェア仕様が固まらないので、後工程のソフトウェア開発にしわ寄せ来ているそうです。そのため五月雨式に仕様が届きます、とのことでした。ただし、もともとラボ契約なので、工数増加についての話は一切ありません。

先輩:なるほど。顧客は「仕様変更多発」の意識が薄いようですね。

中堅:仕様変更ではなく、仕様提示の遅れ、という認識でしょう。

先輩:では、多発する仕様変更をオフショア委託先にはどう伝えましたか?

中堅:十分に検討され尽くしたわけではないので、もしおかしなところがあればご指摘ください、と注釈をつけて仕様変更を提示しました。

■ 問いかけ

<問1>海外オフショア側から届いたメールは、無責任だと思いますか?(Y/N)

仕様変更されたプログラムを更新しました。あまり自信がないのでチェックをお願いします。

<問2>中堅技術者がオフショア委託先に仕様変更を伝える態度は無責任だと思いますか?(Y/N)

十分に検討され尽くしたわけではないので、もしおかしなところがあればご指摘ください

<問3>あなたは、このプロジェクトを外部から観察する第三者だとします。オフショア委託先との窓口役で苦労する中堅技術者に対して、どうアドバイスしますか。

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最新版ができたので確認をお願い

ある日、オフショア開発の発注元で働く中堅日本人技術者のもとに、海外の委託先から以下のメールが届きました。

最新版ができたので確認をお願い致します。 (XXXXXX.zip :添付ファイルはソースコード一式)


なお、当該プロジェクトでは、基本設計は日本側で、詳細設計から結合テストまでは海外オフショア側が担当する役割分担です。ちなみに、上記の日本人技術者は設計と外注窓口役を兼任しています。


■ 問いかけ

<問1>メールを受け取った日本人技術者の反応を予想しなさい。

<問2>一方的にソースコード一式を送りつけた感のあるオフショア委託先に対して、あなたはどう改善指導しますか。

<問3>上記の日本人技術者は、オフショア開発プロジェクトの設計と外注窓口役を兼任しています。そのリスクを分析しなさい。

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世代間ギャップが品質意識に与える影響

オフショア開発には「言葉の壁」や「文化の違い」に代表されるいくつかの阻害要因が存在します。オフショア大學では、これらを4つに大別して詳細解説します。

1. 言葉の壁
2. 文化の違い
3. 分散環境
4. 世代間ギャップ

これらの中でもっとも軽視されがちなのが「世代間ギャップ」ではないでしょうか。

今日はオフショア大學サブテキストから、日本と海外のソフトウェア開発現場に横たわる世代間ギャップに関する考察を抜き出して紹介します。


【状況】

・業務系アプリケーションのオフショア開発に関する話題
・海外と日本国内の技術者の平均年齢の違いに着目

【考察】

情報通信技術はその浅い歴史の中で、非常に大きな発展を遂げました。情報通信技術のあまりにも速い変化の裏を返せば、コンピュータやプログラムや情報処理についての知識を身につけた時期の技術水準に応じて、ソフトウェア品質に対しての勘所が大きく違ってくるということです。

およその傾向としては、上の世代ほどソフトウェアの背後にハードウェアの存在やデータ処理の基礎理論を強く意識しています。このためデータ容量・消費メモリ・CPU負荷・入出力負荷をできるだけ小さく抑えることを重視します。
またソートアルゴリズムを場合に応じて使い分けること(さらに自分で実装すること)や、データをバイトやビットの塊としてイメージすることに抵抗がありません。

一方で下の世代ほどそういった意識は薄く、代わりに業務ロジックを逐語訳的にプ ログラムに落とし込むストレートさを重視します。またソートでいえばアルゴリズム自体ではなく、すでに用意されたソート関数の使い方を知っていることに価値を見出しますし、あるいはデータを抽象的なオブジェクトとしてイメージすることに長けて います。

これだけ知識背景や方向性の異なるメンバーが集まれば、品質意識のすり合わせに相応の苦労を伴うであろうことは想像に難くありません。

出所:内山・幸地(2010)、SEの「品質」力、技術評論社


■ 問いかけ

<問1>日本企業の課長に相当するプロジェクトマネージャーが、オフショア委託先の外国人技術者を評してこうコメントしました。

 「オフショア側の技術者は品質意識が低い」

オフショア委託先の技術者に対して、このような否定的な見解がなされる理由を分析しなさい。


<問2>オフショア開発の阻害要因が上記の4つしかないと仮定します。ソフトウェア開発現場における世代間ギャップは、オフショア開発の成否にどれくらい影響すると思いますか? 影響度合いを 0 - 100 に数値化して答えなさい。

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度重なる仕様変更:名前を入力できません

2016年 5月現在、ベトナムオフショア開発の人気は相変わらず続いています。今日は、オフショア大學サブテキストからベトナムオフショア開発でいかにもありそうな事例を紹介します。


【状況】

・ベトナムへのオフショア開発
・ラボ契約
・自社運営するWeb サービスの開発保守を委託
・SIの請負開発とは違い仕様変更は日常茶飯事
・ラボ契約なので仕様変更には柔軟に対応してもらえる雰囲気
・ブリッジ役として日本人技術者の當間さんが客先常駐している


【事例:名前を入力できません】

日本とベトナムをつなぐ當間さんは、ある会員向けサービスのシステム開発で会員登録機能の実装を担当しました。

その中で伝説化したのが名前の入力です。

仕様書には「すべて全角であること。名前に使われない文字が含まれていればエラーとする」と書かれていました。そこで「名前に使われる文字とは何ですか?」と依頼主に確認したところ、「漢字・ひらがな・カタカナとスペースです」との回答。

そこで當間さんは文字コードの範囲チェックによるエラー処理を組み込みました。

問題はその後の迷走です。名前を入力できない (エラーチェックに引っかかる等) というクレームと修正とのいたちごっこが始まったのです。

・「佐々木」が入力できない→「々」は記号の文字コード範囲にあるのを見落としていた

・「シズヱ」が入力できない→旧仮名が考慮から漏れていた


ここまでは當間さんも自分のミスだと納得して対応していました。

・「いすゞ」が入力できないので「ゞ」を追加

・「H・ポッター」が入力できないので外国人の会員向けに英字と中点と長音を追加


この時点で當間さんから、全角であればすべてOKとしませんかと持ちかけてみたものの、「算用数字とか科学記号とか変な外字とかを入れられても困るから、チェックはしてください」と取り合ってもらえませんでした。

・長音の代わりにハイフンやマイナス、横雪線を入力する人もいるのでこれらを追加

・法人会員だと名前欄に会社名を入れることもあるので「株」「有)」を追加

・ペンネーム「つのだ☆ひろ」が入力できないので「☆」を追加

・アイドルグループ名「AKB46」が入力できないので、やっばり算用数字を追加


ついに業を煮やした當間さん、「このままではきりがありません。名前に使われる文字を明確に定義してください」と詰め寄ります。

依頼主の返答はこうでした。

『ご質問の「名前に使われる文字」ですが、ユーザーが名前として入力した文字全般ということになります。今後とも対応の程よろしくお願いします』

出所:内山・幸地(2010)、SEの「品質」力、技術評論社


■ 問いかけ

<問1>自社サービスを開発・運用する際、仕様変更は日常茶飯事です。ラボ契約はこうした不確定要素を吸収するために編み出された有効な対策の1つです。よって、上記事例に登場する當間さんは、度重なる仕様変更にも柔軟に対応すべきです。あなたはこの意見に同意しますか?(Y/N)

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念のため再確認したらベトナム人のプライドを逆なで

前号に引き続き、5月大型連休中に公開されたベトナム関連コラムから興味深い箇所を抜粋します(本誌発行人による加筆修正あり)。

よく目につくベトナム人IT技術者のマイナス特徴:

・全体的に、ディレクション能力が低い
・指示待ちになる傾向
・イノベーティブな発想や行動は起こりづらい


その一方で、プラス特徴:

・1つのことを教え込んだら的確に実行する人は多い


ベトナム人に指示・伝達する際には、性善説より性悪説で厳しく臨んだ方が長期的にお互いのためにもなる。

日本側の伝えたことをベトナム人が理解しているか気に掛かり、「いま私が言ったことを繰り返してみてください」と伝えたところ、「どうしてそんなことを聞くのか」と機嫌を損ねさせてしまったことがある。業務上確認したいだけなのにベトナム人のプライドを逆なでしてしまい、どうしたものかと頭を抱えた。

出所:ベトナムIT業界に起こる「オフショア疲れ」--対応を迫られる日本企業、CNET Japan (2016/05/04)

■ 問いかけ

<問1>ベトナムオフショア開発の現場で活躍するある日本人が、次のような発言をしました。

「ベトナム人がいつまでも下請開発に甘んじるわけがない」
「ベトナム人はディレクション能力が低く、指示待ち傾向」

この二つの発言は矛盾するように感じられます。前者はベトナム人の主体性に期待する一方で、後者は2016年になっても相変わらず単純労働しかできないベトナム人の問題点を指摘しています。

実は、オフショア開発の現場で、このような矛盾する発言は珍しくありません。なぜ、このような矛盾があちこちで生じるのでしょうか?

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ベトナムIT業界に起こる「オフショア疲れ」

5月大型連休中に公開されたベトナム関連コラムから興味深い箇所を抜粋します。(本誌発行人による加筆修正あり)


ベトナムでは、サッカーの国際試合で自国が勝利すると、その夜は興奮のあまり暴走するバイクで道路が埋め尽くされるほど愛国心は非常に強い。

ところが、ベトナムオフショア開発では、いまだに下請けとしての「IT工場」の側面が強いため、「オフショアに疲れている」との印象が受ける。

「ベトナムのオフショア開発現場では、自分たちが見ることのない、どこかの国のどこかのサービスを次から次へと作っている。それはオフショア開発である以上、当たり前のことだが・・・」

出所:ベトナムIT業界に起こる「オフショア疲れ」--対応を迫られる日本企業、CNET Japan (2016/05/04)


■ 問いかけ

<問1>「オフショア疲れ」という現象は、何年も前から中国でも起こっています。ベトナム人よりも早くオフショア疲れした中国人がよく吐きそうなセリフをたくさん挙げなさい。


<問2>上記コラムでは、ベトナム人のオフショア疲れは必ずしも現地に進出する日系企業にとって必ずしもマイナスばかりではないと主張します。その理由を予想しなさい。


<問3>上記コラムが主張するベトナム人のオフショア疲れが今後も続くとしたら、日本のオフショア業界全体にどう影響すると思いますか。

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