質より量に着目したポジティブ・フィードバック
オフショア開発のコミュニケーション効率を高めるには「質より量」に着目した改善が効果的です。
最も簡単な方法は、ポジティブなフィードバックを増やすことです。フィードバックとはコーチング研修でもお馴染みの基本技法なので、経験豊富な技術者ならその意味を正しく理解していることでしょう。
ところが、ビジネス書に載っているコーチングのお手本を真似ても、オフショア開発でうまくいくとは限りません。
オフショア大學では、次の3つの原則に基づいてポジティブフィードバックするよう指導しています。問題指摘などネガティブな要素をフィードバックする場合は、他の原則を使います。
1.自分を主語にして伝える
2.主観的な意見や感想をポジティブに表現する
3.相手の言動に気づいている、理解していることを伝える
上記の三原則に基づいてフィードバックする際には、アメリカ人の著作物を直訳したような不自然な日本語を用いても構いません。むしろ、そのほうが流暢な日本語よりも好ましいでしょう。なぜなら、フィードバックする相手は、オフショア委託先の外国人なのですから。日本語が不得手な外国人が相手なら、ぜひ英語でのフィードバックにも挑戦してください。
1.自分を主語にして伝える(Iメッセージ)
私は 良かったと 思う あなたが したことは
I think it was good that you (did*).
2.主観的な意見や感想をポジティブに表現する
私は 感謝します あなたが してくれたことに
Thank you for ...
3.相手の言動に気づいている(**)、理解していることを伝える
私は 気づいている あなたが したことを
I noticed that you (did*).
毎日遅くまで 働いてくれましたね
I noticed that you have worked late every day.
注1:英語が得意な人は、上記例文の did(あなたがしたこと)の代わりに具体的な動詞を使うとよいでしょう。その方が、オフショア委託先の外国人の承認欲求が満たされます。
注2:「あなたに気づいている」を表現する I noticed は効果的な表現です。もしあなたが動詞 notice に馴染みばなければ、類義語辞典(シソーラス)を使って notice を代替できそうな英単語をいくつか覚えておくとよいでしょう。例えば、次の動詞は notice の類義語として扱われます。
acknowledge catch detect discern "look at" note recognize regard see spot
■ 問いかけ
<問1>上記の三原則を実践する際に注意すべき点、やってはいけないこととは何でしょうか。
<問2>次の2つのコメント(a)(b)は、オフショア大學が提唱するポジティブなフィードバックに該当しますか?(Y/N)
(a) あなたの提案のおかげで会議がうまく進みました
Because of your proposal, our meeting became very successful.
(b) 今後もぜひ、このような提案を続けていただければ幸いです
Please continue making good proposals like this for the future.
<問3>ポジティブなフィードバックはとても有効な技法です。ビジネス書に載っているコーチングのお手本を真似ても、オフショア開発でうまくいくとは限りません。なぜでしょうか?
The comments to this entry are closed.
Comments