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統計学で言葉と文化の壁を超える

グローバル環境で活躍する日本人エンジニアの話。


當銘元明さん(仮称)は地元の国立大学を卒業した後、単身で米国に渡り大学院に進学しました。

修士課程を修了した後、日本に帰国せずそのまま現地メーカーの生産管理スタッフとして就職しました。

工場では、表向きはERPシステムで全ての生産工程が一元管理されていることになっていましたが、実際には生産途中に生じる仕掛品のデータをスタッフが手動でシステム登録していました。しかも、この工場では納期遵守率の異常な低さにも悩まされていました。

もし、ここが日本国内の工場であれば、ブルーワーカーと呼ばれる生産現場の労働者と管理スタッフが一丸となって、問題発生の原因を徹底的に「なぜなぜ分析」していたでしょう。

でもここは外国です。

「ワタシ作る人」「アナタ管理する人」とばかりに工場内の役割分担が分断されていました。

そこで、数少ない日本人の中で最も若い當銘さんが選ばれて問題分析することになりました。

現場に入った當銘さんは、さっそく仕掛品に(  a   )がついていることに着目して、データ集計の自動化と仕掛り状況の見える化を試すことにしました。

ボスの指示がないと何も動けない周囲を尻目に、當銘さんはさっさと自腹で(   b   )を購入し、これまで二人のスタッフが6時間かけていた仕掛品データのシステム登録作業を半自動化させました。

次に、MS-Officeで簡単なマクロを組み、仕掛品と納期遵守状況をグラフ化し、翌週月曜日に主要メンバーに配布することにしました。

英語には不自由のない當銘間さんでしたが、皆で「ワイワイガヤガヤ議論」とは真逆の組織風土を持つ米国工場で、入社したての自分が前にでしゃばることを若干警戒していました。

そもそも、当時の當銘さんは生産現場を熟知していなかったので、自分で作ったExcelグラフが問題解決に役立つのかどうかさっぱり見当がついていませんでした。

・・・結果は大成功でした。


當銘さんのアイデアによって、この工場の納期遵守率は大幅に改善されました。

言葉や文化だけではなく組織形態も全く異なる海外の生産現場であっても、現物データに基づく確かな統計技法は問題解決に大きく役立つことを當銘さんは実感しました。


■ 問いかけ

<問1>現場に入った當銘さんが早速試したことは何だと思いますか? 本文中のカッコ(a)と(b)を埋めなさい。

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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凡人による英文規格書読解の流れ

前号のおさらい。

与那嶺茂雄(仮称)さんは、ある通信機器メーカーからの下請け開発に従事する平凡な組込系ソフトウェア技術者です。
近年、与那嶺さんは英文で書かれた規格書を読む機会が増えるようになりました。
英文を頭から全て理解している訳ではありませんが、機能設計に必要な情報は過不足なく抑えられています。
お世辞にも英語が得意とはいえない与那嶺さんは、どうやって英文規格書をすらすらと読解しているのでしょうか。


前号の続き。

与那嶺さんが英文規格書を読解する手順を簡単に紹介します。
まず、英文規格書を読まざるを得ない状況に追い込まれる流れから。


1. 顧客から新機能を提案するよう依頼を受ける

2. 日本語でネット検索して新機能の概要を把握する

3. 新機能が定義された規格書の日本語訳を探すが、適当なモノが見つからない

4. 英文規格書を探してローカルPCにダウンロードする


次に、与那嶺さんが本格的に英文規格書を読む流れを示します。

5. 目次から新機能が記述された箇所を限定

6. 熟読すべき文章量を概算して次の戦略を立てる


ここまでの Steps 1-6 では高度な英語力はほとんど要求されません。当該領域の知識を持つ技術者なら誰でも簡単にできるはずです。この後から本格的な読解作業に入ります。

7. 機能仕様が解説された図面を探す

8. 図面の近くにある熟読すべき文章を特定する

9. 英文規格書を読解する作業量を見積もり

10. ようやく読解に着手

以上です。


■ 問いかけ

<問1>なぜ、与那嶺さんは英文規格書を読む際、真っ先に目次を見るのでしょうか?(Step 5)

<問2>図面の近くにある「熟読すべき文章」とは?(Step 8)

<問3>英語が苦手な与那嶺さんはどうやって「熟読すべき文章」を特定していると思いますか?(Step 8)

<問4>「作業量見積もり」の内訳を予想しなさい(Step 9)


問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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春節休暇にあえて求人広告を出す会社

中国でひっそりとオフショア受託業務を営む知人から聞いた話より。


先週から中国では旧正月の長期休暇に入っています。

近年、日本のマスコミでも都会から地元に帰省する中国人でごった返す人民大移動を面白おかしく伝えるのが年中行事となっています。

中国沿岸部の大都市から数百キロメートルも離れた地方都市に進出したある対日オフショア受託企業では、春節休暇に入るちょっと前から日本語人材を募集する求人広告を仕掛けます。しかも毎年のように繰り返し募集します。

そもそも、この地域に日本語人材はほとんどいません。しかも集中的に広告を出す時期は春節休暇に入る少し前なので、都会から帰省する地元出身者の目にとまる機会もありません。


■ 問いかけ

<問1>なぜ、この会社では毎年のように春節休暇に入る少し前から日本語人材の求人広告を出すと思いますか。その目的と費用対効果を予想しなさい。

例:緊急募集ではなく知名度向上のためのPR活動が目的。求人としての費用対効果は極めて悪いが、マーケティングとして考えれば長期で元が取れる。

ヒント→ オフショア大學メールマガジンに掲載

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