二者択一の質問に延々と説明する

近年、TV会議システムを使った進捗報告会議がオフショア開発プロジェクトでも定着しました。TV会議の良さは、何といっても相手の顔が見えることです。

ところが実際には、互いの顔がほとんど見えないTV会議も珍しくありません。その主な理由は以下の通りです。

・参加人数が多すぎて、TVカメラに全員が映らない
・カメラ設置場所の制約から、参加者の横顔を映すだけで精一杯
・「アップ映像は恥ずかしい」との理由で、カメラから遠ざかる
・手元の資料に気を取られて、相手の顔が見ようとしない

中国オフショア開発の会議では、日本から「Yes/No」で答えられる単純な二者択一の質問に対して中国からとんちんかんな回答が寄せられることがあります。些細な問題かもしれませんが、このような意思疎通の齟齬が重なると、次第にオフショア発注オーバーヘッドの負担感が増してきます。

最も単純、かつ、費用対効果に優れた対策は、TV会議のカメラに映った相手方の顔色を注意深くうかがうことです。

オフショア開発の専門家が「顔色をうかがう」「空気を読む」などと助言すると、あなたは違和感を覚えるかもしれません。ならば、TV会議の発言マナーに関する基本指針を明文化しておくだけでもよいでしょう。

例えば、「TV会議で発言する際には、手元の資料やプロジェクタ投影映像ではなく、相手の顔を見ながら相手に語りかけること」などの基本指針を定義して、自己検査用のチェックシートを準備するなどが効果的な対策です。

■ 問いかけ ■

<問1>中国オフショア開発の各種会議において、日本側の二者択一の質問にうまく回答できない中国人が大勢います。主な理由を全て書き出しなさい。
→回答例:相手の要望に先回りして応えようとする過剰なサービス精神が災いして、二者択一質問への回答が複雑化する、など。


<問2>相手の顔が見えない電話会議とTV会議の違いを分析しなさい。

<問3>日本との電話会議において、二者択一の質問にうまく回答できず、延々と説明を繰り返す中国人に助言しなさい。

| | Comments (0)

中国語の内部議論が白熱したら話題が本筋からそれた

オフショア大學受講生による事例発表より

中国W社に委託したオフショア開発プロジェクトでの仕様説明会、日本から一通り仕様説明した後に質疑応答に入りました。この仕様説明会では、通訳を活用します。

はじめに、ある中国人参加者が中国語で質問しました。すると、すぐさま他の中国人参加者が便乗質問しました。さらに、別の中国人参加者が突然何かを思い出したらしく、全く異なる観点から発言を重ねました。それがきっかけとなり、仲間内で中国語による激しい議論が始まりました。

その間、日本側の会議出席者は、中国語による議論が収まるまでじっと待っていました。結局、中国語による議論は当初の質問とは無関係の方向に進んでしまいました。通訳も困り顔です。どの発言がどの質問に対応するのか、どの順番で通訳すればいいのか・・・。

オフショア大學受講生による原因分析より

オフショア大學受講生は、日本人と中国人の意見の伝え方に対する考え方の違いが問題発生の原因だと分析しました。

・中国人は自分の意見を主張することが大切と考えるため、説明会で当初の質問点と離れても、自分の考えをすぐに相手、周りの人に伝えないと気がすまないから。一方、日本人は全体の進行のために自分の意見を抑える事も多い。

・一部の中国側参加者が日本のビジネス習慣(会議中は同時に会話をしない、本筋とは関係の薄い話をしない)を十分に理解していないから

■ 問いかけ ■

オフショア大學受講生は、以下の解決策を提示しました。

(a)会議にファシリテーターを置く
(b)会議では一人ずつ発言させる
(c)中国語で喧嘩腰の議論になったら、日本側の判断で会話をとめる
(d)会議に関係が薄い話題については次回持ち越しとする

ここで問いかけです。

<問1>
仕様説明会のファシリテーターに相応しい人物像を定義しなさい。

<問2>
中国語を全く理解できない日本人が「中国語での喧嘩腰の議論」を仲裁するためには、どのような点に注意すべきでしょうか。

| | Comments (0)

「最初の指示はこうだった」と反論を食らう

先週から開講したオフショア大學第7期「異文化コミュニケーション講座(eラーニング)」より。

中国オフショア委託先で唯一日本語が堪能な中国人ブリッジSE(陳くん:仮名)は、日本側の作業指示を現場に伝える通訳を担当しています。

ところが、日本側での陳くんの評判は良くありません。陳くんの日本語力は全く問題がりませんが、ときどき「嘘をつく」と思われています。

 1)すぐやると返事したのに、なかなか着手しない
 2)調べもしないで「わかった」「問題ない」と勝手に判断する
 3)言葉を正確に通訳せずに自分の意思を交える

日本側の窓口担当者と陳くんは、よく口喧嘩します。
「いい加減な事は言うな!」「そのときは、そうでしたよ!」

その他、よくある厄介な問答:

・私は先週「問題ない」と報告したけど、今は状況が変わった。
だから私は悪くない。→ いや、ほうれんそう不足だ、お前が悪い。

・なぜ日本人は製造工程になってから仕様変更しますか。
→ いや、あれは暫定仕様だと言ったはずだ!

■ 問いかけ ■

オフショア大學の授業で陳くんの行動特性を分析したところ、これは中国人気質なのか、それとも陳くん個人の癖なのかで意見がわかれました。

ある受講生は、こう疑問を投げかけました。

中国文化に「最初に言った指示が絶対」という傾向があるのか。 私の関わったプロジェクトでも「あの時はこう言っていた」と反論されることがしばしばあった。

あなたなら、どう答えますか。疑問を投げかけた受講生は、中国オフショア初心者ですが、仕事へは常に前向きで取り組んでいて、中国に対する偏見を持っていないと仮定します。

<読者アンケート>

「最初の指示はこうだった」と中国人から反論を食らうことが多いが中国文化の特徴か? 真面目な日本人部下から質問を受けたとき、あなたなら何と答えますか。コメント欄に模範解答を示しなさい。

基本Yesと回答
基本Noと回答
その他

結果を見る
コメント欄

締切:2010年04月14日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

| | Comments (4)

外国人留学生の論文作成上の留意点

今週末に開催される「第4回 オフショア大學交流会」の実行委員長から届いたメッセージを紹介します。

 いつもお世話になっております。
 オフショア大學・交流会実行委員長の木元です。

 2月20日には、会場となるお店の店長(老板)と会って、
 ある程度、料理の話を詰めました。木曜日に最終打合せをします。

 今回は品数は少なめにして大皿で食べる事を考えています。

 1:羊肉料理
 1-1:椒塩羊肉  羊肉の天ぷら香り付(特別依頼メニュー)
 1-2:モンゴル風ラム焼肉(通常メニュー)
 1-3:羊肉串  特別依頼メニュー

 2:その他
 2-1:北京ダック(羊はちょっと苦手という方に用意します)
  先ずは、北京ダックの皮を食べる、
  その後、骨等をスープにする。
 2-2:香菜


 中華料理Tips
 代表的な焼き方を3つ上げます。

 1:炒 chao3 鍋肌に油を馴染ませて強火で短時間に火を通す
 
 2:■ 少量の油で火力は中火か弱火。材料の両面をこんがり焼く
  (クイズ:漢字一文字です)

 3:爆 bao4 高温瞬間的に火を通す。香味野菜の香りが引立つ

 木曜日には「外国人留学生の論文作成上の留意点」の発表者と
 当日の発表内容の打合せをする予定です。

 次回の交流会通信は直前の準備状況についてお知らせ致します。
 請うご期待。(^^)/~

 Coming Soooon!!!

■ 問いかけ

今週末の第4回オフショア大學交流会では、「外国人留学生の論文作成上の留意点」と題した講演を予定しています。どんな留意点が発表されるかを予想しなさい。

キーワード:日本の社会人を対象とするフィールド調査、日本語によるインタビューとまとめ、人文社会学系の修士論文、個人情報や知的財産の扱い、など。

| | Comments (0)

経験豊富な先輩技術者として助言したけど一つ落とし穴が

オフショア大學の通信講座グローバルソーシングレビュー2009年9月号より。

Q.オフショア先の若き技術者らの経験不足を察知したら?
A.経験豊富な先輩技術者として助言する

多少、日本人的な思考回路かもしれませんが、私はオフショア先のプロジェクトマネージャへ以下の提案を持ちかけました。

「UMLを上手く使えば設計作業がやりやすくなりますよ。中国でも UML の書籍は手に入るでしょう? 私もそちらへの文書は UML ベースにしますよ」

かくして中国の若き技術者達は、書店で UMLの入門書を数冊購入し、大変な速度で読み込み、次々と自分達の物にしていきました。ちなみに、中国版UML入門書のほとんどは邦書の中文訳本でした。

■ 問いかけ

ところが、心やさしい日本人の先輩技術者は、ここで一つの間違いを犯しています。お気づきでしょうか?

| | Comments (0)

「仕様書の詳細化」はオフショア開発成功の秘策ではない

先日1年ぶりに開催されたオフショア開発実践セミナーより。

講師:海外に提供する仕様書のコツは、記述粒度を細かくするよりも、文書全体の記述粒度を統一させることです。つまり、下手に頑張って仕様記述レベルを詳細化するよりも、粗くてもいいから全体の統一感を保ちます。

受講生:以前、私の部署でオフショア先に粗い仕様書を出したところ、明らかに仕様曖昧な箇所があるにもかかわらず、彼らは事前確認もせず勝手にプログラムを作り込んできました。

・・・・・・(質疑応答2分間)

講師:ということは、問題発生の根本原因は□□□□□□□ですね。したがって、再発防止策として「仕様記述粒度を細かくする」と掲げても、同種の問題再発は防げないでしょう。なぜなら、仕様書の詳細化は、根本原因とは無関係だからです。

受講生:なるほど、確かに・・・(目から鱗)。

講師:ということで、有効な再発防止策は□□□□□□□だと推測されますが、いかがでしょうか。

受講生:その通りだと思います。この解決策は、全く思いつきませんでした。

■ 問いかけ

「仕様書の詳細化」はオフショア開発成功の秘策とは言えません。

アルコール依存症の患者に向かって、医者が「酒を飲まないことが健康になる秘訣です」と説いたところで、いったい何の意味があるというのでしょうか?

同様に「相手とよくコミュニケーションする」「内部レビューに時間を割く」も有効な解決策ではありません。


先日のオフショア開発実践セミナーでは、短い時間の質疑応答だけで見事に問題発生の根本原因に斬り込みました。

ここで問題です。

前出の会話に代表される「仕様曖昧/確認不十分/仕様バグ」の問題を解決するために有効な質問法を検討しなさい。

ヒント:納期絶対主義

| | Comments (0)

業者がお客をコントロールする

次の相談を読んで、後の設問に答えなさい。

はじめから厳しい要求仕様だと分かっていましたが、背に腹は代えられぬとばかりに、営業主導でオフショアすることになりました。中国子会社は、日本側の無謀な仕様変更にも必死で食らいつきました。

それでも、やはり作業遅延が多発したため、私はお客との間で作業優先度の確認と納期調整を幾度となく繰り返しました。この時点で、お客の心証は随分と悪くなっていました。

バグ修正が進みある程度進んだ時期になると、今度はそれまでは目をつぶっていたような画面レイアウトの乱れ、フォントの統一など様々な指摘を受けこれの対応でもまた多大な工数を使うことになった。

これまでの多くのバグがあったこともあり、本来ならば追加請求とするべき内容も受けざるを得ない状況になってしまいました。私は、お客側の過剰とも思える要求をコントロールできませんでした。

(相談者:オフショア大學受講生/切り出しSE)

■ 問いかけ

<問1>この相談には、日本の請負ソフトウェア業界が抱える深刻な問題が含まれます。複雑にからみあった問題を構造化して、重要順に並べ替えなさい。

<問2>日本型の請負ソフトウェア開発では、文言通りの「契約」よりも、その場の雰囲気や状況に流されてしまいます。その理由を、若手外国人プログラマが理解できるように合理的に説明しなさい。

<問3>この相談例では、中国オフショア子会社からの進捗報告を鵜呑みにしたところ、蓋を開けたら「不具合だらけ(画面レイアウト等)」という事態が頻発しました。巷では、「日本人はすぐ相手を信用する」「日本人はすぐだまされる」と噂されます。一体なぜでしょうか。その理由を、若手外国人プログラマが理解できるように合理的に説明しなさい。

<問4>請負ソフトウェア開発において、業者(vendor)がお客をコントロール(control)するとは、いったいどういうことでしょうか。若手プログラマが理解できるように合理的に説明しなさい。なお、片仮名や外来語は極力用いないこと。

| | Comments (0)

要求仕様の意図を理解するために全体像が必要?

■ 絶対に完成しないジグソーパズルの法則
あなたの目の前に、十分に大きなジグソーパズルが置かれています。このジグソーパズルに私がある細工を施すと、あなたはそのジグソーパズルを絶対に完成できなくなります。「ある細工」とは、いったいどんなことでしょうか。念のために前置きすると、パズルの一部を「隠すこと」でも「変形させる」ことでもありません。 正解は・・・

次の一連の発言に間違いがあれば、具体的に指摘しなさい。

(a) オフショア開発の現場で交わされた会話より

日本「システム全体の開発ロードマップは必要ですか?」

海外「要求仕様の意図を理解するために絶対に必要です」

日本「開発ロードマップには、君たちには理解できない箇所が数多く含まれているのだが」

海外「全体の関連性が明確になれば、I/F設計も改善されます」

日本「了解。これまで、要求仕様が明確なら全体の開発ロードマップは不要だと考えていたが、開示してみよう」

海外「ありがとうございます」

※この会話の後、オフショア委託先に全体の開発フォードマップが開示されるまでに3ヶ月要した。

(b) 当社では、開発ロードマップ開示の是非を問う議論から「自分勝手に想像せず、相手とよく話し合う」という教訓を得ました。

(c) よって、今後は、要求仕様の裏に隠された「暗黙の仮定」を全て文字に書き出すよう現場に指示を出しました。

■ 問いかけ

会話(a) は全て正しい(Y/N)
教訓(b) は全て正しい(Y/N)
指示(c) は全て正しい(Y/N)

| | Comments (0)

仕様の四課題と効果的な打ち手の提言

オフショア開発プロジェクトの成功は、仕様で決まります。ここでは、漠然とした「仕様」の課題を下記の4つに分類します。

(1) 要求仕様の精度
(2) 仕様変更の頻度と影響度
(3) 仕様書の網羅性、粒度、可読性
(4) 仕様伝達の効果性

話を単純化するために、オフショア開発の成功要因は上記4要素しか存在しないと仮定します。すなわち、上記4要素のオフショア開発プロジェクト成功寄与率を合計すると、ちょうど100%になると仮定します。

<問1>(1)~(4)それぞれの成功寄与度を大まかに予想しなさい。

某C社の回答例:(1)-20% (2)-30% (3)-40% (4)-10%

<問2>(1)~(4)それぞれについて、あなたの組織でコントロール可能な度合いを0~100%で数値化しなさい。

某C社の回答例:(1)-10% (2)-30% (3)-90% (4)-60%

■ 問いかけ

頭の体操です。

上記某C社では、オフショア開発の失敗が続いているそうです。あなたは、C社にどう助言しますか? 下記の選択肢から選びなさい。

(1)「要求仕様の精度」を高めよ
(2)「仕様変更の頻度と影響度」をコントロールせよ
(3)「仕様書の網羅性、粒度、可読性」を向上させよ
(4)「仕様伝達の効果性」を高めよ

さらに、自社の状況を分析して<問1>と<問2>に答えなさい。

| | Comments (0)

同化政策の自己診断

■ 同化政策とは

全ての料理に「醤油をかける」と隠喩されます。伝統的な日本企業の競争力を生んだ“擦り合わせ”や地道な改善活動は、同化政策のもとで最大の効力を発揮します。

参考:日本企業で活躍したければ会社に魂を売りなさい

一般に、同化政策は善でも悪でもありません。なぜなら、政策とは、あるべき姿を実現するために採用される単なる手段に過ぎないからです。ただし、人によって政策の好き嫌いは分かれます。

× 同化政策は全て間違っている(状況依存なのでこの主張は×)
○ 同化政策は嫌いだ(効果的な手段であっても嫌いな人はいる)


ちなみに、ある会社の同化政策が「外国人と日本人と全く同じように思考/行動する」を目標とするなら、この会社のオフショア推進は失敗する可能性があります。

同化政策が目指す理想とは、「日本人の思考/行動を変えなくても、従来と同等かそれ以上に品質のよい成果物がオフショア先から納品される」が正解です。

■ 問いかけ

あなたの組織(日本企業)がどれだけ同化政策に適合するかを自己診断しましょう。以下の設問に答えなさい。

<問1>自社にとってオフショア委託先とは?(SE技能集団/プログラマ/単なるコーダー)

<問2>お客様の都合は制御できないので、「仕様曖昧」を前提に
オフショア開発を進めざるを得ない(Y/N)

<問3>品質検査100%に限る。99%は不合格だ(Y/N)

<問4>どんなに高精度の仕様書を準備してもオフショア先への仕様伝達ミスはなくならない。ならば、電話やチャットを駆使して、密なコミュニケーションを重ねることが最善策である(Y/N)

<問5>自社では優秀なブリッジSEを確保できない。ならば、両国のプロジェクト現場最前線の担当者同士が密なコミュニケーションを重ねることで仕様伝達の精度を高めるべきである(Y/N)


⇒答えの多くがY(先頭の選択肢)なら、あなたの組織では同化政策が相応しいと推測されます。いったい、なぜ?

| | Comments (0)

より以前の記事一覧