オフショア開発プロジェクトが遅れていたとします。あなたは上司から「あのプロジェクトはどうなっているんだ。先行きがとても不安だ。人海戦術でなんとかするよう、現地の開発チームに伝えるように」と指示されました
英語に翻訳して伝えるのが、あなたの仕事です。あなたなら、どう伝えますか?
そこであなたは、社内で抜群の英語力を持つと評判のスタッフに「人海戦術」をどう英訳すればいいか相談することにしました。
以下、英語に不安を覚えるあなた(初心者)と上級者の会話です。
初級者:人海戦術を英語でどう言いますか?
上級者:どういう場面で、人海戦術を使いたいのですか?
初級者:「遅れを人海戦術でなんとかしてほしい」という依頼です。
上級者:子供でもわかるようシンプルな日本語で書き換えると?
初級者:「設計が遅れてしまいましたが、たくさんのプログラマを追加投入して、絶対に期日に遅れないで欲しい」
上級者:本当に大事なことだけを表現するなら?
初級者:「増員してでも、納期を守って欲しい」
上級者:手段(増員)と結果(納期)、どちらがより大切ですか?
初級者:結果です。オフショア委託先に「納期を守って欲しい」と念を押したいのです
上級者:そうであれば、はじめから人海戦術の英訳に悩む必要はありません
初級者:納期はdeadlineなので、納期を守るとは(辞書を引く)
上級者:ちょっと待て。私なら納期=deadlineとは断定しません
初級者:えーー、英語上級者はどうするんですか?
上級者:私なら、まず文意が分かるキーワードを並べてネット検索します。例えば「納期 厳守 クレーム 取引先 英文メール」。
初級者:Goolge検索結果にたくさんの文例が表示されますが、どれを使っていいのかさっぱり分かりません
上級者:本来なら、ネットからお手本となる英文を拝借して書き換えたいところですが、今回は「納期=deadline」だと仮定して先に進みましょう
初級者:私のレベルにあわせていただき恐縮です。
上級者:では、deadline を使ってシンプルな英文を組み立ててみましょう。
初級者:これでどうでしょうか。
納期を守って欲しい
Please meet the deadline.
上級者:はい、学校英語ならこれで合格です。ただし、現実のビジネスでは、少し不躾な印象を与えてしまう恐れがあります。今はあえて無視しますが、後に英語の丁寧表現を学ぶので、そこでより丁寧な表現に書き換えましょう。
初級者:分かりました。
上級者:次に「人海戦術」という手段を追加しましょう
初心者:「もし必要なら、プログラマを増員させて」でどうですか
上級者:例えばこんな感じでいかがでしょうか。
Please meet the deadline.
If necessary, we'll find more staff for this.
初心者:これなら、英語が苦手な私でも理解できそうな気がします
上級者:私なら、上司からの指示をもっとシンプルな日本語に書き換えてから英訳するので、上記とは異なる英文になると思います。でも上記の英文でも、英語を母語としないアジアの技術者には十分通じると思います。ご安心ください。
■ 問いかけ
<問1>ときどき「人海戦術を英語ではどう言いますか?」と唐突に質問してくる人がいます。あなたなら、どう回答しますか
<問2>Please meet the deadline. は不躾な印象を与える恐れがあります。一体なぜでしょうか。
<問3>英語中級者が「来月までに仕上げて欲しい」を次のように英訳しました。この英文が抱えるリスクを分析しなさい。
Please get this project finished by next month.
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