75%がITサービス企業で働く実態を外国人にどう説明するか

来月(10/5)、マレーシアのペナン島で開催される国際カンファレンスで講演することになりました。そこで、日本市場に詳しくないマレーシア現地人に対して、次のような問いかけを投げかけるつもりです。

Itserviceprovidersvsclients

日本には約90万人のIT技術者がいます。うち75% は ITサービス企業で働いています。つまり、ユーザー企業で働いているIT技術者は 25% のみ。実は、米国ではこの比率がほぼ逆転します。

日本では多くのIT技術者がサービス企業で働いています。この事実は、過去の日本におけるオフショア開発/グローバルデリバリーにどう影響してきたと思いますか?

また、今後マレーシアIT企業が対日市場を攻略する際、どのように工夫すべきでしょうか。対米市場との違いを踏まえながら比較分析しなさい。

出典:経済産業省(2015)、IT人材を巡る現状について

■ 問いかけ

<問1>経済産業省は、日本のIT技術者のおよそ75% がITサービス企業で働いている事実をどう分析しているでしょうか。マクロ視点による役所のコメントを予想しなさい。

<問2>日本では多くのIT技術者がITサービス企業で働いています。この事実は、過去の日本におけるオフショア開発/グローバルデリバリーにどう影響してきたと思いますか?

<問3>今後マレーシアIT企業が対日市場を攻略する際、どのように工夫すべきでしょうか。対米市場との違いを踏まえながら比較分析しなさい。

*Hints: オフショア大學公式メールマガジンに詳細な補足説明が追記されています。


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マレーシア国際カンファレンス概要(10/5)

私は、来月(10/5)、マレーシアのペナン島で開催される国際カンファレンスで講演することになりました。

全体テーマは "Trends & Changes Towards Industry 4.0"、主催は日本マレーシア技術学院(JMTI)です。JMTiは1997年に設立された政府系の職業訓練校で、現地では国内トップ校の扱いです。

このカンファレンスには、地元関係者だけではなく、東南アジア諸国からも10名ほどが参加する見込みです(カンボジア、フィリピン、ベトナム、バングラディッシュ、スリランカ、モーリシャス、モルディブ)。いずれも各国の政府機関に所属する技術系キーパーソンとのこと。当日の式次第は以下のとおりです。


1. 基調講演

University Malaysia of Computer Science & Engineering
副学長 Prof. Dr. Khairuddin bin Abd hamid


2. 講演(1)

組込みシステム技術のイノベーション
Innovation with Embedded System Technology
JICA, 藤森


3. 講演(2)

日本のオフショアリング市場の最新動向
An overview of Japanese offshore outsourcing trend
オフショア大學, 幸地


4. 講演(3)

Realisation Through Innovation
CIM, En. Mohamad Najmuddin bin Abd Rahman


5. 講演(4)

マレーシアにおける知的財産権と工業デザイン保護の重要性
Importance of Intellectual Property and Industrial Design Protection in Malaysia
Malaysian Intellectual Property Academy
Mr. Redzuan bin Al

            ※

私の講演では、日本のオフショア開発の最新動向を紹介します。そのため、インターネットで公開されている情報を調べ直しています。そこで、今日もみなさんといくつか情報共有したいと思います。


[1] 国内BPOサービス市場予測、2017年~2021年(IDC)

現場の本音では「国内BPOは逆風」が定説です。一方、信頼できるマクロ統計として知られる調査会社によると、国内BPOサービス市場は依然として好調に推移すると予測されています。

・2016年 市場規模 前年比4.9%増 7,017億円
・2016年~2021年 年間平均成長率 3.7%
・2021年 市場規模 8,427億円


[2] Worldwide Offshore IT Services Forecast, 2017-2021 (IDC)

調査会社IDCが販売する「オフショアITサービス」の近況と将来予測を把握するためのレポートです。無料公開資料では日本市場を個別に把握することはできませんが、世界のトレンドを知ることはできます。社内ポータルサイトから閲覧できる企業があるので、興味があれば探してみてください。


[3] オフショアリング、スキル偏向型技術変化、労働需要(RIETI)

技術変化によって低スキル労働者の雇用が減る一方で、高スキル労働者の雇用を増やす効果があることが確認されました。換言すれば、世の中には「オフショアされやすい作業」というものがあり、それは、非熟練者でも担当できる作業がであることが改めて確認されました。

ただし、この調査はソフトウェア分野に限らず多くの産業を対象とします。現場で活躍するPM/PMOにとっては、あまり役立つ情報ではありません。

■ 問いかけ

<問1>他のアジア地域と同様にマレーシア現地人も高いプライドを持ちます。その特徴を他国と比較しながら簡潔に述べなさい。

<問2>過去数年間、世間を賑わしたマレーシア関連ニュースを思い出しなさい。

<問3>マレーシアは、今後コールセンター産業の誘致に力を注ぐべきだと思いますか?(Y/N)

*Hints: オフショア大學公式メールマガジンに詳細な補足説明が追記されています。

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IT人材が30万人以上不足、どう対策する?

来月(10/5)、マレーシアのペナン島で開催される国際カンファレンスで講演することになりました。

全体テーマは "Trends & Changes Towards Industry 4.0"です。私の講演では、軽く日本のオフショア開発の最新動向を紹介します。そのため、インターネットで公開されている情報を調べ直しています。

前回に引き続き、今日もそれらの一部を紹介します。


[1] 2017年以降のIT人材に関する展望(ガートナー)

調査会社ガートナーは、2020年末までに日本のIT人材が30万人以上も不足するだろうと指摘しました。さらに、2020年までに

・日本IT部門の10%が、人の代わりにAIやロボットを採用する
・オフショアリング実施部門の50%が人材確保を主目的とする

詳細な調査結果は有料契約するクライアントのみが閲覧できます。社内ポータルサイトから閲覧できる企業も少なくないので、興味があれば探してみてください。


[2] グローバルアウトソーシング市場に関する調査結果 2016(矢野経済研究所)

やや古い調査ですが、いくつかある信頼できる日本向けオフショアサービス市場規模予測の中で、これが最新データだと思いますです。

・2014年度から2019年度まで年平均 3.6% 成長
・2014年 $1,409 million → 1,550億円
・2017年 $1,561 million → 1,720億円 予測
・2019年 $1,678 million → 1,850億円 予測
※1ドル=110円で換算


[3] ITアウトソーシングサービス市場調査 2016年(矢野経済研究所)

・2019年度の市場規模 3兆9,985億円 予測
・2014年度から2019年度まで年平均 0.8% 成長

同じ調査機関による[2]の結果と併せて理解すると、オフショアアウトソーシング市場規模は市場全体のわずか 5% と見込まれます。ただし、これは金額ベースでの比較です。工数ベースの考察ではないのでご注意ください。


[4] 国内BPOサービス市場予測、2017年~2021年(IDC)

信頼できるマクロ統計として知られる調査会社によると、国内BPOサービス市場は依然として好調に推移すると予測されています。一方、現場の本音は「国内BPOは逆風」が定説なので、こうした数値をどう読み取るのかが分析者の腕の見せ所です。

・2016年 市場規模 前年比4.9%増 7,017億円
・2016年~2021年 年間平均成長率 3.7%
・2021年 市場規模 8,427億円


■ 問いかけ

<問1>ガートナーによると、2020年末までに日本のIT人材が30万人以上も不足します。日本のIT企業では、人材不足を改善するためにどのような施策をとると思われますか? IT人材白書2017を参照しながら予想しなさい。

<問2>あなたは、日本市場に強い関心を寄せるマレーシアIT企業の幹部から「日本の主なオフショア委託先(国)はどこか?」と質問されました。ただし、十分に調べる時間がないと仮定します。あなたなら、どう即答しますか? 

<問3>あなたは、日本市場に強い関心を寄せるマレーシアIT企業の幹部から「どうやれば、マレーシアIT企業が日本向けオフショア開発事業を成功させられますか?」と質問されました。あなたなら、どう即答しますか? 

*Hints: オフショア大學公式メールマガジンに詳細な補足説明が追記されています。

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外国籍IT人材の活用状況 (2017)

来月(10/5)、マレーシアの政府系教育機関でオフショア大學が講演することになりました。講演者は、当グログの管理人(幸地司・オフショア大學代表)です。

講演ではオフショア開発の最新動向を軽く紹介します。そこで、インターネットで公開されている情報を調べなおすことにしました。今日はその一部を紹介します。

情報源:IT人材白書2017(独立行政法人情報処理推進機構)

IPAから毎年発刊されるIT人材白書は、オフショア開発の最新動向を知る最良の資料です。2017年度版は今年4月に公開されました。

実は、IT人材白書で言及される「オフショア開発」関連情報は年々減少しています。2017年度版では「オフショア開発」に関する記載が9箇所、見つかりました。それらは以下の3分野に集約されます。

1. 外国籍IT人材の採用割合
2. IT人材不足改善の取り組みのうち、効果があったもの
3. 外国籍IT人材の採用の目的


IT人材白書は無料配布される公開情報なので、興味ある方はご一読ください。

■ 問いかけ

<問1>外国籍IT人材の採用割合が高い会社の特徴は何でしょうか。次の4つの選択肢から、IT人材白書2017が示唆する答えを1つ選びなさい。

・メーカーのソフトウェア子会社
・世の中の大きな変化の中にいると感じている会社
・地方都市でニアショア開発を多く受託している会社
・2次請け、3次請けが多いシステムインテグレーター


<問2>IT企業の人材不足改善の取り組みのうち、効果があった施策として「オフショア・ニアショア」と回答した会社の割合を予想しなさい。

5.4%
11.3%
18.9%
28.0%


<問3>外国籍IT人材の採用の目的を調べたところ、以下の4項目が上位を占めました。それらを支持率(回答割合)の高い順に並べ替えなさい。

・IT人材の多様化のため
・技術力が高い人材の確保
・IT人材の不足を補うため
・自社事業のグローバル化の対応のため


<問4>外国籍IT人材の採用の目的を調べたところ、「オフショア開発への対応等」が最大の目的だと回答した割合を予想しなさい。

6.8%
11.6%
24.3%
32.9%

*Hints: オフショア大學公式メールマガジンに詳細な補足説明が追記されています。

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海外コールセンターへの顧客満足度

最近、読んだ論文より。


近年コールセンターを海外に設置する動きが盛んです。とはいえ、顧客はよもや「外国人が電話応対」するなんて想定していません。

一部の顧客は、電話対応が「日本人らしくない」ことを理由に相手を蔑むエスノセントリズム(英: ethnocentrism)を示します。

これは何も日本人に限った話ではなく、オフショアリングが発達した米国でも同様です。


海外コールセンターにつながった顧客は、当然ながら電話口の不自然な日本語に違和感を覚えます。しかしながら、問題解決が図られた場合には、「日本語の未熟さ」によって顧客満足度が低下することはありません。


海外コールセンターに顧客が最も不満を抱くのは、オペレーターの力量不足を感じたときです。とりわけ、杓子定規のマニュアル対応や長過ぎる保留時間は、顧客満足度を大きく低下させます。


興味深いことに、問い合わせ内容の種類によっては、オペレーターの対応が同じであっても顧客満足度は変わります。

例えば、顧客が深刻な問題を抱えている場合、少しくらいオペレーターの対応がまずかったとしても、最終的に問題が解決すれば顧客はそれなりに満足します。下手な日本語や冷たい態度を「帳消し」にするといえば大袈裟かもしれませんが、オペレーターの専門性や問題解決力はそれほど重要だということです。

問い合わせ内容が顧客の専門領域では、最終的に問題解決したかどうかよりも「オペレーターがどう対応したか」がより満足度に影響することがわかりました。つまり、顧客の専門領域に関する問い合わせ時は、結果よりもプロセスが重視されます。たとえ問題が解決されたとしても、プロセスが悪ければ顧客満足度はあまり良くないだろう、という考察です。


参考:伊藤龍史(2016)、オフショアリングされたコールサービスセンターと日本人顧客の心情:探索的研究、新潟大学


■ 問いかけ

<問1>エスノセントリズム(英: ethnocentrism)とは、自民族中心主義や自文化中心主義と訳される社会学の専門用語です。オフショア開発に携わる日本人エンジニアは、ときどきエスノセントリズム(英: ethnocentrism)の態度を示します。この主張に同意しますか?(Y/N)


<問2>ある会社で経理用パソコンの調子が悪くなりました。そこで情報システム部門の伊集さん(男性・社内SE)がパソコンメーカーのサポート窓口に電話で問い合わせました。つながった先は、明らかに外国人でした。

伊集さんは、外国人オペレーターにも通じる日本語を話さなければならないと思い、始めからかなり気を使いました。こちらの話しが正しく伝わっているかどうか心配だったため、何度も確認しながら一つ一つ丁寧に時間をかけて説明しました。

その結果、伊集さんはオペレーターから有益な情報を引き出すことに成功し、見事パソコンの調子は元に戻りました。サポート対応終了後、伊集さんは「もし(専門家の自分ではなく)コンピュータの素人が問い合わせしていたら、この問題は解決しなかっただろう」とメーカー対応を振り返りました。

伊集さんは、メーカ対応にどれくらい満足したでしょうか? 紹介した伊藤(2016)の論文を参考にして、顧客満足度を予想しなさい。


<問3>顧客の専門性(高/低)と問題解決(Yes/No)とオペレーター対応(良い/悪い)で「2×2×2」の3次元マトリクスを作成しなさい。そして、8個のマスにそれぞれ顧客満足度を書き込みなさい。


*Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

*2017.7.20開催オフショア開発実践セミナー(グローバル業務編)でも解説します。

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オフショア開発実践セミナー(2016年3月)

オフショア開発実践セミナー(2016年3月)

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ブリッジPM・SE育成 グローバル教育の事例紹介セミナー

オフショア大學が、非公開でレクチャーするつもりだった講演を、関係者のご好意により一般公開することになりました。いろいろ検討した結果、受講料は無料とします。

ただし、誰でも参加できるわけでありません。受講者は人材育成に責任をもつ経営陣・人事・PMO リーダー、PM、部課長に限定します。実際、当セミナーには、現場の技術者が目からうろこを落とすようなすぐに役立つノウハウは含まれません。どうかご了承ください。

ブリッジPM・SE育成 グローバル教育の事例紹介セミナー
http://www.offshoringleaders.com/workshop20151014/

日時:2015年10月14日(水) 18:20-20:20
場所:オフショア大學 新横浜セミナールーム
受講料:無料
対象者:経営陣・人事・PMO リーダー、PM、部課長

オフショア開発人材の育成に悩む方は必見です

・長期ビジネスの視点からオフショア開発の成功要因を分析したい
・部課長の責任で、オフショア人材育成に本気で取り組みたい
・海外でしっかり管理できるPM人材を急速に育成したい
・日本人技術者をオフショア対応のプロフェッショナルにしたい


開催間際の案内で恐縮です。該当者はお気軽にお申し込みください。
よろしくお願いします。

無料→ http://www.offshoringleaders.com/workshop20151014/

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オフショア開発 次世代リーダー養成塾

オフショア大學セミナー

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出張者・海外赴任者向け研修(中国編)

オフショア大學セミナー

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オフショア開発実践セミナー【ベトナム編】

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