欧米メディアからの困った取材条件

オフショア大學への相談より。

当社はSI受託開発から人工知能アプリ開発まで、一通り手をつける全方位型のITサービスプロバイダーです。私は先端技術を応用するITサービス事業のマーケティングを担当しています。

マーケティングの対象範囲は全世界です。私は主にアジア新興国を担当してますが、ときどき欧米の企業やメディアにも対応します。

私たちの事業部はそれなりの「先端技術」を扱っているものの、売上規模が小さいため社内では決して花形部署ではありません。そのため、ほとんどのマーケティング活動が私たちチームの裁量に任されています。


先日から、欧米のあるメディアに当社を取材していただくよう段取りしています。自社の先端技術への取り組みをアピールする絶好のチャンスです。

先方の担当者は30代と思しきインド人編集者です。失礼ながら、意外にも流暢な英語を話すインド人に私は驚きました。きっと欧米経験が豊富な敏腕編集者なのでしょう。

メディア取材の打ち合わせは順調でした。ところが、打ち合わせの終盤にメディア側から出された取材条件に私たちは困ってしまいました。

■ 問いかけ

<問1>マーケティング担当者を困らせた欧米メディアからの取材条件とは、一体何だと思いますか?


<問2>アジア新興国向けのマーケティングと欧米市場向けのマーケティングの主な違いは何ですか? ITサービス分野に限定して分析しなさい。


<問3>これまでオフショア専業だったアジア新興国のITベンダーが、今年から現地マーケティング支援サービスを始めることになりました。この企業と提携する顧客はどんな点に注意すべきでしょうか。

*Hint 1. オフショア大學公式メールマガジンをご覧ください

*Hint 2. オフショア開発実践セミナー (グローバル業務編) (2017/7/20実施)でもこの問題のヒントを扱います

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要求分析のオフショア成功要因(文献)

最近、読んだ論文より。

要求分析フェーズのオフショアを成功させることは、重要な挑戦課題です。そこで3つの問いかけのヒントを探ります。

(1)要求分析のオフショアは本当にうまくいくだろうか?
(2)要求変更はオフショアの成功にどう影響するか?
(3)要求分析のオフショアを成功させる重要な要因は?


まず、皆が一番知りたい「要求分析のオフショアは本当にうまくいくだろうか?」について。この論文の結論は「Yes」。ただし、さすがにコスト削減はほとんど期待できません。

実は、上流工程で頑張って要求変更を抑えようとしてもプロジェクト成功にはさほど影響しません。

やはりアジャイルは効果的です。特に上流工程では( a )に優れたコーディネータを配置すべきです。

参考:Vanita Yadav et al. (2016), Considerations for Effective Requirements Analysis in Offshore Software Development Projects: Lessons from Multi-method Research, CAIS

■ 問いかけ

<問1>上記の括弧( a )に入る言葉を選択肢から選びなさい。

1. オンサイト側
2. オフショア側
3. PMO
4. 経営陣

<問2>上流工程で頑張って要求変更を抑えようとしてもプロジェクト成功にはさほど影響しません。一体なぜでしょうか。

<問3>要求分析のオフショアで活躍するコーディネータの人物像を描きなさい。

*Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

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海外パートナーに預けた金が戻ってこない

オフショア大學への相談より。

私は東京都内の小さなソフトハウスで営業をしています。最近は客先常駐から請負開発へのシフトに力を注いでいます。

数年前に当社でも東南アジアのパートナーを使って、オフショア開発に挑戦しました。当社にとって初めてのオフショア開発プロジェクトでしたが、意外にも無難に終えることができました。

その後も細々とオフショアチームを維持してきました。ところが最近、お客様の都合でラボを解散することになりました。突然のラボ解散でしたが、2年以上の活用実績が残せたので、当社としてはこれまでの結果に満足しています。

ところが半年後、突然、お金の問題が発覚しました。

当社は海外ラボの運営支援という名目で、海外パートナーに数百万円を貸し付けていました。現地での技術者の採用・教育・日本出張費用などに何かと金がかかるので、資金力に乏しい海外パートナーを財政支援していたのです。

ところが、貸付金の返却期日を過ぎても海外パートナーからの着金が確認できません。

小規模会社にとって数百万円は大金ですが、毎月100万円以上のラボ人件費の支払いが発生するため、貸し倒れリスクは小さいと見積もっていました。万一、海外パートナー側で何か怪しい動きがあれば、即座に毎月のラボ人件費支払をストップすればよい、と考えていたからです。

ところが、顧客都合で突然ラボが解散されたことにより、貸し倒れリスクが顕在化してしまいました。

当社の管理部門責任者が慌てて海外パートナー代表者の携帯電話に連絡したところ、驚きのコメントが戻ってきました。

「先日、会社を売却した。個人保有株もすべて処分した。よって貸付金については売却先の新会社と話して欲しい」


私たちは唖然としました。

当社がこれまで2年以上、この海外ラボを維持してきたのは、他ならぬ(元)代表者個人との信頼関係に基づいていたからです。

顧客都合で突然ラボ解散となったのは不幸な出来事ですが、2年以上の継続発注を通じて信頼関係を築き上げたのに「会社を手放したからさようなら」では到底納得できません。

当社社長は「裁判だ!」と息巻いていますが、現実には相手国の土俵で争うのは極めて困難です。

海外パートナーの元代表者は「もはや私はこの件については無関係だが、元代表としては遺憾である。何とか金が戻ってくるよう引き続き努力したい」と電話口で語ったそうです。

さて、この先いったいどうすればいいのでしょうか。

■ 問いかけ

<問1>この後、相談者がとるべき対応を検討します。可能性のある選択肢をすべて洗い出しなさい。

<問2>相談者の会社が、相手国で裁判を起こして争う決心をしました。想定されるリスクを挙げなさい。

<問3>相談者の会社にとって「数百万円」は、すぐに倒産するような金額ではないものの、かなり痛手です。なぜこのような事態を招いたのか、時系列順に原因を探りなさい。

*Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

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海外顧客へのプレゼンに万全を期すも失敗

オフショア大學への相談より。

私は、日本のSI企業でグローバル対応可能なシステム導入を提案営業しています。ある日、アジア某国の研究機関から「システムを提案してくれないか」と依頼がありました。当社製品を導入してくださった実績のある有力者からの紹介案件です。

しかも、この研究機関から複数のキーパーソンが来日するとの情報を事前にリークしてもらいました。研究者らが集うシンポジウムへの参加が目的とのこと。

これ幸いにと、当社は営業・技術・R&D部門の上級管理職が首を揃えてシンポジウム会場を訪問し、来日したキーパーソンらにご挨拶しました。そして、入念に段取りされた流れにしたがって、当社システムの導入案をプレゼンしました。

プレゼンと質疑応答の公用語は英語でした。プレゼンは、技術出身で英語も得意な当社の中堅エース営業に担当させました。


・・・後日談

当該案件を紹介してくださった方によると、当社のプレゼンはお客様の心にあまり響かなかったそうです。

むしろ、若干の不信感すら残ってしまったようです。

■ 問いかけ

<問1>上記相談によると、プレゼンは失敗でした。一体なぜでしょうか。考えられる原因をできるだけたくさん挙げなさい。

<問2>上記相談のプレゼンが失敗した原因は、国民文化の違いで説明できます。この主張に賛成しますか?(Y/N)

<問3>上記の失敗事例から得られる教訓をまとめなさい。

* Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

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日本製部品を海外パートナーに担いでもらう提案

オフショア大學への相談より(※)。


私はアジア新興国で国内市場の開拓に従事しています。

当社はシステムの一部分として組み込まれるソフトウェア部品を扱っています。

そのため、海外で売上を伸ばすためには、現地の有力パートナーのメニュー表に予め当社製品を加えてもらわないといけません。いわゆる、現地パートナーに担いでもらう営業方針です。

現地パートナーの営業責任者は、高品質な当社製品を高く評価しています。ただし値段が高すぎるため、ソリューション全体のバランスが崩れることを懸念しています。

実際、地元政府や現地見込客との商談でも、値段の話題になった途端に表情が一変します。「これじゃ全く話にならん」という態度です。

私も現地感覚だと「日本製は高すぎる」という自覚はあります。成功した他社事例など、何か有益な情報や助言をいただけますか。

※機密情報保持のため話をかなり脚色しています


■ 問いかけ

<問1>相談者が求める有名な成功事例を1つ挙げなさい。

<問2>日本製部品を海外パートナーに担いでもらうには、どう提案すればよいでしょうか。適当に条件を設定して、相談者に助言しなさい。


* Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

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インド人出張者の受け入れNG対応

来週の月曜日、インドのオフショア委託先から次期プロジェクトの打ち合わせのために初来日します。男性(36歳・ムンバイ出身)です。

あなたは、インド人出張者の受け入れ担当です。彼は次期プロジェクトのキーパーソンです。

技術はピカイチですが、日本語は全くできません。風のうわさによると、今さら日本語を覚える気もないそうです。

■ 問いかけ

<問1>あなたは、初日の歓迎会のお店を探しています。無難なお店と危ないお店を、それぞれ以下の選択肢から1つ以上選びなさい。またその理由を述べなさい。
なお、参加者は英語が(少し)話せる人に限定したため、合計4名の少人数だと仮定します。

(a) 焼肉バイキング
(b) ビュッフェ形式のレストラン
(c) 個室のある落ち着いた雰囲気の洋風居酒屋
(d) 会社近くにある食べログ高評価のインド料理店


<問2>あなたが世話をするインド人出張者は、会社が契約するウィークリーマンションに3ヶ月の予定で滞在します。
日本に不慣れな訪日外国人は、日常生活でもよくトラブルを起こします。あなたは、彼のお世話係として、どのような点に注意すればいいでしょうか。


答えの Hints はオフショア大學公式メールマガジンをご覧ください。

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オフショア委託国の調査票

「チャイナ・プラス・ワン」はソフトウェア業界でもお馴染みとなった経営用語です。

オフショア開発に馴染んだ大手企業や小回りの利く一部の中小企業では、ベトナムの次の次を見据えたオフショア拠点づくりを検討しています。

よって、「なぜ今さらチャイナ・プラス・ワン?」と訝しむ読者も少なくないはずです。

ところが、世の中には、オフショア開発どころか持ち帰り外部委託ですらままならないソフトウェア企業がたくさんあります。

ある会社のソフトウェア部門では、数年前にいくつかの海外オフショア企業を調査しました。対象国は中国、ベトナム、インドの三大オフショア委託国。

そして今年、改めて海外オフショアの最新動向を調査することになりました。理由はチャイナ・プラス・ワンへの対応です。対象国は前回の三カ国に加えてフィリピン、ミャンマー、その他を考えています。


■ 問いかけ

<問1>あなたは、会社トップから「チャイナ・プラス・ワンに対応するため次世代オフショア委託候補国を調査せよ」と指令を受けました。

中国、ベトナム、インド、フィリピン、ミャンマーの五カ国が調査対象です。

トップからは「PowerPointスライド1枚」にまとめるよう指示を受けています。あなたなら、どうまとめますか?

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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政治と宗教の話はタブー?

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.海外の方と会話する場合は、政治と宗教の話はタブーと聞きます。事実でしょうか?


A.外国人との会話に不慣れな人は政治や宗教の話題を避けたほうが無難です。とはいえ、必ずしもタブーではありません。

範囲をオフショア開発に限定すると、日本企業は顧客の立場であり、しかも相手は中国とベトナムが大半を占めるので、巷に溢れる「海外=欧米」を前提とするマナー本に書かれた内容を鵜呑みにする必要はありません。

実際、私は、中国IT企業での社内研修でも、わりと気軽に日中の政治対立について議論をふっかけます。日本ではタブー視される皇室や核兵器に関する話題を通じて、日本と中国の文化の違いについて議論を交わしたこともあります。

2012年、例の尖閣問題がピークを迎えた頃、周囲の中国人から「我々のような民間人に尖閣問題は関係ない」と何度も声をかけられました。

ただし、上記はあくまでも、中国のオフショア関係者との交流に限定されます。政府関係者や一般市民との対話ではないことをご承知おきください。


■ 問いかけ

<問1>かつて、私が中国人向け講演で物議をかもした政治的話題を予想しなさい。


<問2>ベトナムIT最大手企業のプロマネを相手に、南沙諸島に関する議論をふっかけることは避けたほうがいい(Y/N)


<問3>ミャンマーIT企業のビルマ人幹部に向かって、アウン・サン・スー・チー氏の批評を述べるのは避けたほうがいい(Y/N)


<問4>インドIT企業の日本語が苦手な現地技術者に対して、クリスマスのお祝いメッセージを送るのは避けたほうがいい(Y/N)


<問5>バングラデシュIT企業との取引を検討する日本企業があります。相手企業の経営幹部に宗教上の留意点を根掘り葉掘り詮索するのは避けたほうがいい(Y/N)

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中国・ベトナム以外の選択肢

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.アジア圏で中国・ベトナム以外の選択肢は現状どの程度ありますか。今後のオフショア開発の動向についてお聞かせください。


A.中国・ベトナムを含む5カ国が、直近のオフショア発注先として活用されています。案件数の実績順で5カ国を列挙します。

1.中国
2.ベトナム
3.インド
4.フィリピン
5.ミャンマー


一方、オフショア大學受講生から寄せられる関心の度合いで5カ国を並べ替えると、以下の通りです。

1.ベトナム
2.中国
3.ミャンマー
4.インド
5.フィリピン


ミャンマーについて。

これまで「国内はアマチュア水準、腕に覚えがある者は海外出稼ぎ中」がミャンマーの実情を説明する決まり文句でした。近年は、技術者のポテンシャルの高さが、他国と比べてミャンマー最大の利点だといえます。

ミャンマーの詳細は以下の過去記事をご覧ください。
http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/cat23591648/


インドについて。

インドはコスト削減のための選択肢ではありません。多くの会社では、インドへは特別な技術力が求められます。コストが度外視される会社も珍しくありません。

インドの詳細は以下の過去記事をご覧ください。
http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/cat4292100/


フィリピンについて。

最近本誌ではフィリピンの話題をほとんど扱っていません。


■ 問いかけ

<問1>ミャンマー人技術者のポテンシャルの高さを説明しなさい。

<問2>フィリピンオフショア開発の将来性を論じなさい。

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「週末は家族サービス」に違和感

インドIT企業で働くネパール人エグゼクティブに話を聞きました。


Q.日本での生活で感じた不思議な点があれば教えてください。
A.日本人男性がよく苦笑いしながら言う「週末は家族サービス」には違和感があります。


Q.宗教や慣習の違いが仕事に影響したことはありますか?
A.日本では、仕事や生活において宗教や風習があまり重視されないと感じます。日本の職場で宗教間の対立や差別がないのは、よいことだと思います。


■ 問いかけ

<問1>インド企業エグゼクティブが、日本人男性がよく口にする「週末は家族サービス」に違和感を覚えた理由を予想しなさい。


<問2>インドで宗教や慣習の違いが仕事に影響した事例を挙げなさい。「オフショア開発」以外の領域でも構いません。


<問3>日本と比べてインド企業の上下関係は厳しいか?(Y/N)

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