オフショア委託国の調査票

「チャイナ・プラス・ワン」はソフトウェア業界でもお馴染みとなった経営用語です。

オフショア開発に馴染んだ大手企業や小回りの利く一部の中小企業では、ベトナムの次の次を見据えたオフショア拠点づくりを検討しています。

よって、「なぜ今さらチャイナ・プラス・ワン?」と訝しむ読者も少なくないはずです。

ところが、世の中には、オフショア開発どころか持ち帰り外部委託ですらままならないソフトウェア企業がたくさんあります。

ある会社のソフトウェア部門では、数年前にいくつかの海外オフショア企業を調査しました。対象国は中国、ベトナム、インドの三大オフショア委託国。

そして今年、改めて海外オフショアの最新動向を調査することになりました。理由はチャイナ・プラス・ワンへの対応です。対象国は前回の三カ国に加えてフィリピン、ミャンマー、その他を考えています。


■ 問いかけ

<問1>あなたは、会社トップから「チャイナ・プラス・ワンに対応するため次世代オフショア委託候補国を調査せよ」と指令を受けました。

中国、ベトナム、インド、フィリピン、ミャンマーの五カ国が調査対象です。

トップからは「PowerPointスライド1枚」にまとめるよう指示を受けています。あなたなら、どうまとめますか?

問いかけのヒントはオフショア大學公式メールマガジンに記載されています。

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政治と宗教の話はタブー?

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.海外の方と会話する場合は、政治と宗教の話はタブーと聞きます。事実でしょうか?


A.外国人との会話に不慣れな人は政治や宗教の話題を避けたほうが無難です。とはいえ、必ずしもタブーではありません。

範囲をオフショア開発に限定すると、日本企業は顧客の立場であり、しかも相手は中国とベトナムが大半を占めるので、巷に溢れる「海外=欧米」を前提とするマナー本に書かれた内容を鵜呑みにする必要はありません。

実際、私は、中国IT企業での社内研修でも、わりと気軽に日中の政治対立について議論をふっかけます。日本ではタブー視される皇室や核兵器に関する話題を通じて、日本と中国の文化の違いについて議論を交わしたこともあります。

2012年、例の尖閣問題がピークを迎えた頃、周囲の中国人から「我々のような民間人に尖閣問題は関係ない」と何度も声をかけられました。

ただし、上記はあくまでも、中国のオフショア関係者との交流に限定されます。政府関係者や一般市民との対話ではないことをご承知おきください。


■ 問いかけ

<問1>かつて、私が中国人向け講演で物議をかもした政治的話題を予想しなさい。


<問2>ベトナムIT最大手企業のプロマネを相手に、南沙諸島に関する議論をふっかけることは避けたほうがいい(Y/N)


<問3>ミャンマーIT企業のビルマ人幹部に向かって、アウン・サン・スー・チー氏の批評を述べるのは避けたほうがいい(Y/N)


<問4>インドIT企業の日本語が苦手な現地技術者に対して、クリスマスのお祝いメッセージを送るのは避けたほうがいい(Y/N)


<問5>バングラデシュIT企業との取引を検討する日本企業があります。相手企業の経営幹部に宗教上の留意点を根掘り葉掘り詮索するのは避けたほうがいい(Y/N)

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中国・ベトナム以外の選択肢

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.アジア圏で中国・ベトナム以外の選択肢は現状どの程度ありますか。今後のオフショア開発の動向についてお聞かせください。


A.中国・ベトナムを含む5カ国が、直近のオフショア発注先として活用されています。案件数の実績順で5カ国を列挙します。

1.中国
2.ベトナム
3.インド
4.フィリピン
5.ミャンマー


一方、オフショア大學受講生から寄せられる関心の度合いで5カ国を並べ替えると、以下の通りです。

1.ベトナム
2.中国
3.ミャンマー
4.インド
5.フィリピン


ミャンマーについて。

これまで「国内はアマチュア水準、腕に覚えがある者は海外出稼ぎ中」がミャンマーの実情を説明する決まり文句でした。近年は、技術者のポテンシャルの高さが、他国と比べてミャンマー最大の利点だといえます。

ミャンマーの詳細は以下の過去記事をご覧ください。
http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/cat23591648/


インドについて。

インドはコスト削減のための選択肢ではありません。多くの会社では、インドへは特別な技術力が求められます。コストが度外視される会社も珍しくありません。

インドの詳細は以下の過去記事をご覧ください。
http://aicoach.tea-nifty.com/offshore/cat4292100/


フィリピンについて。

最近本誌ではフィリピンの話題をほとんど扱っていません。


■ 問いかけ

<問1>ミャンマー人技術者のポテンシャルの高さを説明しなさい。

<問2>フィリピンオフショア開発の将来性を論じなさい。

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「週末は家族サービス」に違和感

インドIT企業で働くネパール人エグゼクティブに話を聞きました。


Q.日本での生活で感じた不思議な点があれば教えてください。
A.日本人男性がよく苦笑いしながら言う「週末は家族サービス」には違和感があります。


Q.宗教や慣習の違いが仕事に影響したことはありますか?
A.日本では、仕事や生活において宗教や風習があまり重視されないと感じます。日本の職場で宗教間の対立や差別がないのは、よいことだと思います。


■ 問いかけ

<問1>インド企業エグゼクティブが、日本人男性がよく口にする「週末は家族サービス」に違和感を覚えた理由を予想しなさい。


<問2>インドで宗教や慣習の違いが仕事に影響した事例を挙げなさい。「オフショア開発」以外の領域でも構いません。


<問3>日本と比べてインド企業の上下関係は厳しいか?(Y/N)

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英語も曖昧

オフショア大學セミナーでは、「日本語は曖昧になりがち」と前置きした上で、その傾向と対策を学びます。ただし、その理由は、日本語の言語的特徴よりも、曖昧さ美徳とする日本文化に起因すると伝えています。

逆に「英語は厳密か」と問われたら、私は一般論としてYes と回答します。その理由は、英語の言語的特徴からも説明できますが、同時に、英米人の曖昧さをできるだけ排除しようとする文化的特徴にも起因すると思われます。

実際、英語でも前後の文脈を隠したまま短い文字列だけを提示されたら、とても曖昧に感じます。

例: "in a week" → 2つの異なる意味がある


中国語やベトナム語には動詞の活用がないため、短い文章だと時制すら判断できないことも珍しくありません。

ヒンディー語で「昨日」と「明日」は同じ単語を使うそうです。スケジュール相談で話が全く噛み合わない恐れがありますね。

ちなみに、沖縄語(方言)には母音が3つしかありません。福岡では「ととと」だけで会話が成立することもあります。不思議ですね。

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草の根運動のイメージの違い

類似のモノや同一物でも、日本語と英語ではイメージが異なることがあります。

例えば、日本語「草」と英語"grass" [1]。

日本人にとっての草は、どちらかと言えば「負」のイメージ。負のイメージが言い過ぎなら、非重要な印象と言い換えてもよいでしょう。例えば「雑草」や「www(草)」。

一方で、英語の"grass"はとても前向き、かつ、重要なイメージです。たとえるなら、日本語の「米」に近い感覚です。なぜなら...(理由は省略)。


余談ですが、日本文化の精神的支柱の一つである「米」は、中国人にとっては「貧乏人が腹を満たすため安い主食」といったイメージ。

このようなイメージの違いは、業務で無用な誤解を生む恐れがあります。


■ 問いかけ

<問1>インドオフショア開発の改善活動を「草の根運動」として展開したい場合、インド人に対して "grass-roots movement" と表現したら誤解が生じますか?(Y/N)


<問2>日本人ベテラン社員が、中国子会社で長期的な改善活動を推進するために「米百俵の精神」を引用して指導しました。米百俵の逸話は、現在の辛抱が将来の利益となることを象徴します。このやり方で、中国人スタッフの心を掌握できますか?(Y/N)


<問3>日系ベトナム子会社の社内教育で、NHKプロジェクトX「黒四ダム 断崖絶壁の難工事」を従業員に視聴させました。この番組を通じて、仕事に対する責任感を高めるのが狙いです。視聴後、ベトナム人従業員が発した驚愕のコメントを予想しなさい [2]。


<問4>仕事でよく使うモノや概念の中から、日本語と外国語でまるでイメージが異なる単語をいくつか挙げなさい。


参考文献
[1] 三省堂、ニュー・アンカー英和辞典(図解:日英語の比較)
[2] OVTA、ベトナムの日系企業が直面した問題と対処事例

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駐在員をおくと立ち上げは早まるか

オフショア大學受講生との質疑応答より。
(Q. 受講生 A. オフショア大學講師)


Q.私は、大手メーカー系列会社に所属する技術マネージャーです。当社では海外にオフショア開発子会社を有しています。私の仕事は、組織横断的にオフショア推進(子会社活用)することです。そこで質問ですが、現地に駐在員をおいたほうがオフショア開発の立ち上げは早まりますか?


A.Yes

コストを度外視すれば、現地に日本人駐在員を派遣するほうがオフショア開発は早く立ち上がります。

同様に、日本と海外拠点間で専用線を引くほうがオフショア開発は早く立ち上がります。専用回線の維持費は、国や地域によってかなり金額差があります。

要するに、コストと立ち上げ速度のトレードオフが意思決定に欠かせない判断材料です。


駐在員配置を検討する際には、まず駐在員の役割と権限について分析するとよいでしょう。同時に、会社規模や海外市場開拓の意思に関する前提条件も確認しておきましょう。

専用回線やその他、高額な設備投資を検討する際にも、駐在員配置と同様に設備の役割やビジネス戦略との整合性について分析しておくとよいでしょう。

相談者は大手メーカー系列会社に所属する技術マネージャーです。すると、条件によっては「ある程度、コストを度外視」できる可能性があることがわかります。

しかも、子会社の人事やプロジェクト評価に対して、間接的に影響力を発揮できる立場にあることも見逃せない前提条件です。

さらに、大手メーカー系列会社が持つ次の特徴に着目するとよいでしょう。

・グループ内からの受託開発が売上の大半を占める
・自社の幹部は親会社からの天下りで、顧客と強い人脈あり


実は、相談者の会社事情を考慮すると、現地駐在員に求められる最重要業務の一つは、グループ内の顧客や幹部スタッフの海外視察をアテンドすることです。ここでよいアテンドができれば、顧客と末永い関係が維持できます。

その一方で、日本人駐在員が若手中心の海外オフショア現場に直接介入する役割は、あまり期待されていないのが現実です。

以上の点から、相談者の会社では、駐在員を配置するメリットは十分にあると判断します。


■ 問いかけ

<問1>駐在員が顧客や親会社幹部の海外視察をアテンドする際のの留意点を述べなさい。


<答2>日本人駐在員に求められる役割を列挙しなさい。


<答3>日本と海外を結ぶ専用回線の維持費について述べなさい。


<答4>日本と海外を結ぶ専用回線の品質について述べなさい。

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インド人から1行のそっけない返信メールのみ

今週は東京近郊でオフショア大學研修が3回実施されました。およそ20時間、私が研修講師を務めました。基本的に、ずっと立ちっぱなし、しゃべりっぱなしの三日間。


講義中、受講生と交わした多数の質疑応答のうち、思わずくすっと笑ってしまった話題を1つ紹介します。


Q.私はインドとの担当窓口です。相手は将来の幹部候補と目されるインド人男性の中堅リーダー(30代中盤)。そこで、私は失礼のないようビジネス英語の教科書に載っているような丁寧なメールを送っています。

例えば、"Thank you ..." ではなく "I appreciate ..." を使う、など。ところが、相手のインド人からの返信はいつもそっけなく用件のみ。先日は、わずか1行の返信メールでした。

もし、これがインド式英文メールのスタイルなら、私も相手にあわせて挨拶や丁寧表現をやめて、用件のみ簡潔に記載するほうがいいでしょうか?(Y/N)


■ 問いかけ

<問1>上記の質問に回答しなさい。

目上のインド人相手でも、英語メールでは簡潔に書いてよい(Y/N)


<問2>問1の答えはYes/Noどちらでも構いません。あなたの答えが導かれた根拠と、相談者への温かい助言を述べなさい。

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アジア4カ国の上司像と働き方に関する調査

アジアで1,200名(各国300名)を対象とした上司のマネジメントの特徴に関する意識調査「アジア4カ国の上司像と働き方に関する調査 2012」[1] より。

調査対象国:中国、インド、日本、シンガポール


まず、4カ国で共通する価値観を示した調査結果を1つ紹介します。

理想の上司像について各国で調査したところ「判断力が優れていること」は4カ国共通で上位にランクインしました。特に、日本では第2位以下を引き離してダントツ一位を獲得しました。

他国とは違い「ボトムアップ型」や「村社会と長老」を特徴とする日本企業において、判断力が優れていることが圧倒的に支持される調査結果がとても興味深いと思います。


調査全体(報告書 88ページ)を俯瞰すると、すぐに以下のことに気づきます。


・「中国、インド、シンガポール」 vs 「日本」の構造
すなわち、4カ国中、日本だけが特殊な結果を示す傾向がある。


・この種の調査結果を鵜呑みにすると危険
例えば、中国人は通常、アンケートに馬鹿正直に答えない


・実務に応用するには、異文化理解に基づくが慎重なアレンジ必要
当該調査からは各国それなりに特徴ある結果が得られるが、データ分析を実務応用する際には文化的背景を考慮すること。


以上を注意すれば、この調査結果は読み物としても面白いし、あらゆる業種業態で現状改善に役立つヒントが得られます。


■ 問いかけ

<問1>職場での行動特徴について調査しました。会議への遅刻を最も許容する割合が高いのは、どの国でしょうか?

(a) 中国
(b) インド
(c) 日本


<問2>キャリアにおいて重視する価値観を質問しました。働く上で「専門知識・技能を磨いていくこと」を重視する割合が最も高いのは、どの国でしょうか?

(a) 中国
(b) インド
(c) 日本


<問3>働く目的として「お金を得る」ことを重視する割合が最も高いのは、どの国でしょうか?

(a) 中国
(b) インド
(c) 日本


<問4>管理職にとって大切なことを質問しました。判断や行動に一貫性があることを重視する割合が最も「低い」のは、どの国でしょうか。

(a) 中国
(b) インド
(c) 日本


参考文献
[1] リクルートマネジメントソリューションズ(2012)、アジア4カ国の上司像と働き方に関する調査 2012

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中国、ベトナム、インドの違い【無料セミナー案内あり】

先日、新横浜のオフショア大學セミナールームで、ベトナムに特化したオフショア開発実践セミナーが開催されました。中国やインドと比較しながら、ベトナムオフショア開発の推進ノウハウを具体的に紹介しました。

先日の講座はオフショア大學主催の有料講座でしたが、6月にはその教育コンテンツを一部紹介する「無料」のセミナーを開催します。主催は、オフショア大學のパートナー「テクノロジックアート社」です。

以下宣伝。


【開催概要】
ベトナムソフトウェア開発セミナー
-オフショアアジャイル開発のノウハウと実情-

日時:2015年6月23日(火)14:00-16:00(13:30受付開始)
会場:DAYS赤坂見附/東京都港区赤坂3-9-1 紀陽ビル
定員:60名
参加費:無料/事前登録制


【プログラム】
14:00-14:10 開演/ご挨拶

14:10-14:50 ベトナムアジャイルオフショアソフトウェア開発 (トランスコスモス・テクノロジックアートCEO Minh Le)

14:50-15:00 休憩

15:00-15:40 「海外いいね!」とのヨイショ話に飽きた人へ、ベトナムと中国の違いを徹底解説するオフショア開発講 (オフショア大學 代表 幸地司)

15:40-16:00 質疑応答、終わりのご挨拶

セミナーの詳細・お申し込みはこちら

■ 問いかけ

国や地域によって、理想とされる上司像やマネジメント様式は変わります。さて、次の特徴を有するのは、中国、ベトナム、インドのうち、どの国でしょうか?


<問1>上司は部下に「着実な成果を期待してリスクの低い目標を与える」傾向がある [1]。

(a) 中国
(b) ベトナム
(c) インド
(d) 三カ国ともほぼ同じ傾向


<問2>仕事では、猛烈的に目標達成を追い求めるよりも、どちらかと言えば、周囲との良好な人間関係や充実した福利厚生、雇用の安定さなどを求める傾向がある [2]。

(a) 中国
(b) ベトナム
(c) インド
(d) 三カ国ともほぼ同じ傾向


※参考情報
[1] アジア4カ国の上司像と働き方に関する調査2012、リクルートマネジメントソリューションズ(2012)
[2] 旧正月に仕事させる(January 20, 2010)

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