「富士康の劣悪なインターシップ」の裏側を理解

最近のニュースより。

先日、富士康科技集団の製造現場で劣悪な環境下で学生にインターンシップをさせていたと報道されました。ある専門学校から約700人を3カ月の予定で同社工場に集団派遣したところ、以下のような不満が爆発しあっという間にインターンシップは中止となりました。

・賃金が安い
・宿舎や食事、管理体制が劣悪
・学校での学習内容との関連性が低い

出所:NNA 共同通信グループ、2017/07/24付記事

あなたは、このような中国経済ニュースをどう読み解きますか?


元外資系コンサルティング会社代表の海野氏には、かつて富士康で係長を務めたことのある友人がいます。その友人によると、同社の給与水準はかなり高いものの、ノルマ管理が非常に厳しく、過去に自殺者が何人も出たのは頷けるとのことです。そして、その友人も結局は体を壊して富士康を辞めざるを得ませんでした。

上記は3次情報(友人の友人からの又聞き)なので必ずしも情報の信頼性は担保されませんが、マスコミ報道を鵜呑みにせず自分なりに「事象の裏側を読み取ろう」とする態度は評価に値します(と自画自賛)。


■ 問いかけ

<問1>ところで富士康とは、一体どういう会社ですか?

<問2>上記報道「富士康の劣悪なインターシップ環境」の裏側を理解するために、あなたはどんな情報を参考にしますか? 有益な情報源や情報収集法について述べなさい。

<問3>上記報道の裏側を理解するためには、中国を代表する世界最大級の通信機器メーカ Huawei(華為)の事例が参考になります。いったい、どのような観点で分析すればよいと思いますか? ブログ管理人の考え方を予想しなさい。

*Hint. オフショア大學公式メールマガジンをご覧ください

参考情報
【間違い探し】ヤマダ電機"撤退"決意!

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ルワンダでオフショア開発をする理由

ネットで見つけた一風変わったオフショア事例を紹介します。アフリカ・ルワンダの話題です。

一人の優秀なルワンダと出会いました。個人的にはとても優秀だと感じました。ただし、他のルワンダ人技術者の力量やチームとして機能するかどうかは不明でした。

そこで、彼のマネジメントのもとで、ルワンダの独立系 ICT開発企業にスマートフォンアプリとバックエンドで動く一連のシステム開発を委託しました。20名規模の会社を使ってルワンダの実力を検証するためです。

検証の結果、ルワンダ人の技術力はしっかりしていることが判りました。マネジメントも及第点をつけました。人件費については、当初の期待を上回るようなメリットは感じられませんでした。

ルワンダとのやり取りはすべて英語です。

出所:Japan Business Press (2016年6月6日)、先駆者が語る、ルワンダでオフショア開発をする理由

■ 問いかけ

<問1>ルワンダへのオフショア開発に取り組む先駆者は、ありがたいことに人件費の削減効果を数値化しました。日本国内の人件費を100%としたとき、ルワンダやその他地域の人件費は何%くらいになると思いますか。答えを予想しなさい。

日本   100
中国    xx
ベトナム  xx
インド   xx
ルワンダ  xx

※答えは元記事で紹介されています。


<問2>ルワンダの開発生産性の目安を予想しなさい。

日本   100
中国    xx
ベトナム  xx
インド   xx
ルワンダ  xx


<問3>仕様に関してルワンダ側との認識にギャップがあった場合、どう対処したと思いますか?


<問4>元記事に登場する先駆者が感じるルワンダ活用の課題を予想しなさい。


<問5>ルワンダやアフリカについてあなたが知っている情報を、何でもいいので箇条書きしなさい。

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経産省、アジアIT留学生の獲得に向けて環境整備

2015年1月、経産省に「IT人材ワーキンググループ」なる委員会が設置されました。そこでは、今後、必要とされるIT人材像、および人材の確保・育成の方向性等が検討されています。

先日、NHKニュース で「アジア各国でIT専攻の学生を対象に日本語学校留学や就職を斡旋する組織を設置検討(経産省)」と報じられたので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

「IT人材ワーキンググループ」はすでに3回実施されており、それぞれ経産省のWeb サイトで資料が公開されています。過去3回の議論から、海外に関する検討事項を抜粋して、それぞれ概要を紹介します。


・情報通信業に就労する外国人について

情報通信業に就労する外国人は約○万人(平成25年10月末)。平成20年から56%増(+1万人)。うち9割は東京近郊。いずれも、公開済みの厚生省資料より引用。

 一位 中国 53.6%
 二位 ○○ 16.4%
 三位 ○○ 4.3%
 四位 ○○ 2.8%
 五位 ○○ 2.4%


出所:経産省(2015)、IT人材ワーキンググループ(第1回)
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_1/32.html


・海外IT人材が日本に入国する際の3つの課題

(1)日本語によるコミュニケーション能力向上
(2)留学・採用ルートの確保
(3)IT専攻以外の「在留資格」でもスムーズに入管審査


・上記(1)と(2)の解決策

→IT大学及び日本語学校関連団体との連携組織を組成


・上記(3)の解決策

→出入国管理および難民認定法の一部を改正


先日のNHK ニュースでは、上記(1)と(2)の解決策が取り上げられました。ニュースでは、「2020年には技術者としての在留資格などで日本のIT業界で働く外国人を今の2倍に当たる6万人にまで増やしたい」と締められました。

出所:経産省(2015)、IT人材ワーキンググループ(第2回)


■ 問いかけ

<問1>日本で情報通信業に就労する外国人の数を推測しなさい。

 平成20年(2008)
 平成25年(2013)


<問2>日本で情報通信業に就労する外国人の数を、出身国別順に推測しなさい。

 一位 ○○国 ○○%
 二位 ○○国 ○○%
 三位 ○○国 ○○%
 ・・・・・・


<問3>米国-インド間のオフショア開発の成功要因を挙げなさい。特に日本企業との違いに着目しなさい。ただし、従来語り尽くされた「英語」や「契約・ドキュメント」「開発プロセス」以外の要因を挙げること。


※問いかけのHints/答えは、無料メールマガジンの末尾に記載されています。ブログ右上のメニューからメルマガ購読を申し込みください。

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オフショア開発研究会が発足、業界知見の横展開に期待

先週土曜日、オフショア開発研究会が発足しました。新しい門出を祝うために、中国No.1対日アウトソーシング基地である大連にて、第1回オフショア開発研究会発足記念フォーラムが開催されました。

参加者は約50名。その内訳は、日本人7割/中国人3割、大連在住者4割/その他6割(日本訪問団など)。

会場提供してくださった大連中軟様をはじめ、イベントを後援してくださった大連市政府関係者、大連ソフトウェアパーク関係者の皆様に御礼申し上げます。

基調講演は、僭越ながら私(幸地)が「次世代オフショア開発」と題して60分間みっちり話しました。

・3年後の日本ITO市場とオフショア発注量の推移予測
・次世代オフショア開発の3つのキーワード
・人口構成分析から得られた次世代オフショア開発躍進の要諦

私の基調講演が終わった後、オフショア開発勉強会に何度も参加したことのある某氏曰く「今回の講演が今までで一番インパクトがあった」とベタ褒めでした。

日本には「旅は恥のかき捨て」という妙な諺がありますが、アウェイの大連だからこそ元気よくしゃべり続け、さらに一部の出席者を喜ばせた想定外の発言まで飛び出してしまいました。オフショア開発研究会の発起人からは、以下のコメントが寄せられました。

・オフショア開発研究会は非営利組織である
・オフショア知見の組織横断的な横展開を目指す
・非公式手段を駆使して、オフショア業界のbest practiceを整備
・非公式手段を駆使して、オフショア業界の裏ノウハウを整備
・先行者利益を享受する大連の成功ノウハウを他都市にも展開
・最新の研究成果をいち早く大連にもFeedbackする

前夜祭のきのこ鍋(9/24)、イベント当日(9/25)、そして翌日の夏麗ゴルフ大会(9/26)と、大連オフショア関係者には多大なるご支持・ご支援を賜りました。誠にありがとうございます。

次回から、大連はアウエイではなく「ホーム」と呼ぶことにします。

■ 問いかけ

第1回オフショア開発研究会発足記念フォーラムの基調講演で、私は次の発言で物議を醸しました。(一部参加者の面子が潰れたかも)

原則:対日ITO業務に限れば、年齢とperformanceは比例する。

事実:10年前の中国人PMは平均30歳だった。5年前の中国人PMも30歳、現在の中国人PMの平均年齢はやはり30歳。

<問1>上記の原則と事実が正しいと仮定したとき、演繹的論理展開から得られる結論は何ですか。

<問2>幸地が基調講演で言及した「問1で導かれた結論=問題を解決する有効な手段」を予想しなさい。

私の答えは、第41回オフショア開発勉強会(東京)で発表します。一般的な教科書には載らない想定外の発想かも。乞うご期待!「教科書には絶対に載らない中国オフショア開発の裏話(10/14)」

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/10/30)

金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けします。

・2009/8/23 - Wipro
OFFSHORING 2.0
タレント人材を世界規模で調達しマネジメントする能力が次世代オフショアリングの成功を左右します。そして、顧客とベンダが一体となったデリバリーモデル(delivery model)を確立します。そこでは、当然SaaS活用も視野に入れます。今後、少なくとも年平均成長率35%を見込んでいます。(ちょっと古い分析かな?)

・2009/10/22 - Forbes.com
[Oxford Analytica] IT Outsourcing Poses Risks
オフショアリングの影の部分を改めて整理しました。
- Uneven performance
- Risks factors; Operations / cost / Security
- International laws
- Industry initiatives
- Risk mitigation: Cultural similarity / Industrial relatedness
- Outlook : BPOは堅調に伸びるけど...

・2009/10/23 - TMCnet Industries Site
IT Outsourcing Market Growth Slows, Offshoring, Cloud
Computing to Increase: Report

2010年オフショア・アウトソーシングの市場には、若干明るい兆しが戻ります。といっても、以前のような爆発的な成長率は望めませんが。ただし、日本企業が考える「単発ソフトウェア開発の請負契約」への言及はなく、ほとんどが数年単位の大規模Outsourcing契約を前提とした議論です。M&Aが活性化すると予想。

・2009/10/28 - BusinessWeek
Quarterly Profit at Wipro Jumps 19%
India's third-largest software services exporter beats expectations and says the outlook for outsourcing is
improving.
顧客数を伸ばし、下期の売上予測も堅調。世界同時不況の影響を脱し、すでに最悪期を脱したと判断しました。TCSの業績も好調です。

・2009/10/29 - NTTデータ
平成22年3月期 第2四半期決算短信
http://www.nttdata.co.jp/release/2009/102900.html
(連結累計)
・売上高:5,328億円(+3.8%)
・営業損益:335億円(▲25.1%)
中国ベンダの買収により、直系子会社の中国要員は1,000名を突破。
・従業員一人当たりの売上高:4,655万円/年(2008年実績)
・従業員一人当たりの売上高:3,589万円/年(2009年予測)

・2009/10/29 - 日立製作所
平成22年3月期 第2四半期決算短信
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2009/10/1029.html
「情報通信システム分野」(連結累計)
・売上高:1兆0,367億円(▲19%)
・営業損益:238億円(▲63%)

・2009/10/29 - 富士通
平成22年3月期 第2四半期決算短信
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2009h/
「ソリューション/SI分野」
(連結累計)
・売上高:5,175億円(▲11%)
(連結第2四半期のみ)
・売上高:2,785億円(▲14%)

・2009/10/29 - NEC
平成22年3月期 第2四半期決算短信
http://www.nec.co.jp/ir/ja/material/statement/index.html
「ITサービス分野」(連結累計)
・売上高:3,825億円(▲9.1%)
・営業損益:105億円(+2億円)

・2009/10/29 - クオリティマインド
【技術者のための中国語講座】第552号「烏鎮シンポジューム
http://archive.mag2.com/0000103084/index.html
浙江省烏鎮は私が一番好きな街です。烏鎮を知ったきっかけは、CCTVの『似水年華』という連続ドラマです。中国俳優・朱旭、黄磊、台湾女優・劉諾英、マレーシア女優・李心潔の豪華キャストです。このドラマの舞台となったのが烏鎮です。運河の街・烏鎮で撮影されたドラマはストーリィだけではなくその生活風景にも強く惹かれました。このドラマの放送(再放送)が終わった夜すぐにVCDを買いに走りました(笑)
そして時をおかず、杭州から烏鎮をめぐる旅行に行きました。ドラマの舞台となった運河を見下ろす食堂で食事をしたり、黄磊と李心潔が飲み明かした米酒蔵に寄ったりしました。特に暮れなずむ運河や夜景が気に入りました。地元の米酒(52℃)は意外にもおいしく、白酒が苦手な私でも半斤呑みきってしまいました。私は春に行きましたが、秋もきっと運河を渡る風が爽々しくて気持ちが良いでしょう。

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上場企業のSI売上・営業損益データ一覧

システム構築/情報サービス事業を営む主要な上場企業の売上と営業損益のデータを列挙します。

<NEC「ITサービス分野」2009年度第1四半期>
・売上高:1,697億円(▲7.6%)
・営業損益:▲1億円(前年同期比 30億円改善)

<日立製作所「情報通信分野」2009年度第1四半期>
・売上高:4,716億円(▲21%)
・営業損益:32億円(▲86%)

<富士通「ソリューション/SI」2009年度第1四半期>
・売上高:2,390億円(▲9%)
・営業損益:19億円(▲83.9%) ... 本業は堅調とのこと
アウトソーシングサービスは、堅調に推移しましたが、SIビジネスについては、公共分野が好調であったものの、企業の投資抑制などにより、金融及び製造・流通分野においてATM、POSシステム関連のソリューションを中心に減収となりました。

<NTTデータ 2009年度第1四半期>
・売上高:2,693億円(+10.0%) ... 企業買収により
・営業損益:166億円(▲21.3%)

<NRI「ITソリューションサービス」2009年度第1四半期>
・開発の売上高:325億円(▲5.5%)
・運用の売上高:370億円(+7.9%)
・中国への発注実績:41.5億円(+6.7%)

<ITホールディングス連結 2009年度第1四半期>
・売上高:659億円(▲21.6%)
・営業損益:8.5億円(+12億円)
・アウトソーシング・ネットワーク分野売上高:809億円(+7.3%)
・ソフトウェア開発売上高:274億円(▲8.9%)

<大塚商会「SI事業」H21年12月期第2四半期>
・売上高:1,256億円(▲17.4%)
・営業損益:101億円(▲34.4%)

<CTC H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:597億円(+1.9%)
・営業損益:93億円(+558.3%)
流通、公共向けなどにおいて売上高は増加基調。システム運用等を中心にサービス売上高も増加。

<新日鉄ソリューションズ H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:326億円(▲6.3%)
・営業損益:19億円(+33.8%)

<富士ソフト H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:360億円(▲6.4%)
・営業損益:0.7億円(▲92.1%)
・ソフトウェア開発関連の売上高:284億円(▲9.0%)
・ソフトウェア開発関連の営業損益:4億円(▲15億円)

<CSK「情報サービス」H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:366億円(▲21.0%)
・営業損益:6.8億円(▲60.5%)

<日本ユニシス H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:546億円(▲3.2%)
・営業損益:37億円(H22通期予想160億円)

<住商情報システム H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:283億円(▲4.9% H22通期予想 1340億円)
・営業損益:6.7億円(▲21.6% H22通期予想 75億円)

<トランスコスモス H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:375億円(▲6.9% H22通期予想 1530億円)
・営業損益:5.4億円(H22通期予想 45億円)

<電通国際情報サービス H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:112億円(▲21.5% H22通期予想 678億円)
・営業損益:▲20億円(H22通期予想 10億円)

<ソラン H22年3月期第1四半期決算短信>
・売上高:113億円(▲12.6% H22通期予想 555億円)
・営業損益:▲5.3億円(H22通期予想 28億円)

■ 問いかけ

<問1>システム構築/情報サービス事業を営む主要な上場企業の直近データをみると、厳しい市場環境が理解できます。日本のソフトウェア人口動態に与える影響を分析しなさい。

<問2>「システム構築/情報サービス事業を営む主要な上場企業」を思いつくままに拾い上げましたが、抜け漏れがあればお知らせください。

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NEC、2010年3月までに中国オフショア加速で100億円削減を目指す

NECは、ソフトウェア開発の製造原価を連結ベースで300億円削減すると発表しました。中国オフショア開発にとって、この動きは追い風となるでしょうか。

一般に、大手によるシステム開発の原価削減は、内的な方法と外的な方法に大別されます。

(1) 内的:プロセス改善、技術革新などによる生産性向上
(2) 外的:外注先の集約と見直し、オフショア比率の向上

NECの2008年度有価証券報告書から、関連する項目をざっと洗い出します。

2008年度「IT/NWソリューション事業」
・従事者:81,701名
・売上高:2兆7,239億円(▲5.0%)
・営業利益:1,249億円(▲22.3%)
・研究開発費:1,625億円
・設備投資費: 218億円(▲8.9%)

NECは、今年度から「ITサービス/SI分野」というセグメントで決算数値を出すようになりました。当ブログにとって、大事な数値はこちらです。

<NEC、2008年度「ITサービス/SI分野」>
・売上高:8,245億円(▲1.0%)

NECグループ全体の売上高は、NTTへの依存度が高く11.2%を占めるとのこと。もっとも、SI分野はそこまでNTTへの依存度は高くないと思いますが。

NECの2009年度第1四半期報告書から、最新の営業状況を確認します。

<NEC、2009年度第1四半期「ITサービス分野」>
・売上高:1,697億円(▲7.6%)
・営業損益:▲1億円(前年比同期比 30億円改善)
・研究開発費:11億円

世界不況の影響によって、NECに限らず大手のSI分野は軒並み前年同期比から大幅な売上ダウンとなっています。例えば、日立製作所の2009年度第1四半期の売上高と営業利益は、それぞれ前年同期比21%ダウン、86%ダウンとなっています。

<日立製作所、情報通信分野2009年度第1四半期>
・売上高:4,716億円(▲21%)
・営業損益:32億円(▲86%)


ここで話題をNECに戻します。NECグループ「ITサービス/SI分野」2010年度の売上高は、第1四半期実績を単純に4倍するとおよそ6,800億円。昨年実績のマイナス7.6%だとすると、8,245億円 x 0.924 = 7,618億円。

今回、NECが目指す300億円の開発費削減とは、営業利益をおよそ4%改善させる効果に相当します。

NECのソフト開発外注比率を50%とすれば、外注高はおよそ3,500億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約9%の外注費削減となります。

NECのソフト開発外注比率を60%とすれば、外注高はおよそ4,200億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約7%の外注費削減となります。

逆に、今年度のNECのソフト開発外注比率が30%とすれば、外注高はおよそ2,100億円。ということは、「300億円の開発費削減」とは約14%の外注費削減となります。つまり、外注比率が低いほど開発削減という手段は厳しい選択だといえます。

2009年度第1四半期の営業損益が▲1億円という危機的な状況を打開するために、NECは従来の下請け業者(business partner)に「開発費○%一律削減」と通達する手もあります。ところが、今回はパートナー企業の集約と中国オフショア拡大で乗りろうと考えているようです。

・従来2000社の下請け → 130社に集約し、200億円のコスト削減
・中国オフショア加速 → 100億円のコスト削減


<クイズ>
NECの2009年度ソフト開発/SI年間売上を7,000億円、外注費を3,348億円(外注比率=半分弱)だと仮定します。さらに、話を単純化するために、NECは毎月30,000名の外注を使っており、年間では36万人月分を外注していると仮定します。

NECが外注する毎月30,000人のうち、10%の3,000人月が中国オフショア発注人月工数だとします。

現在の国内外注単価を100万円/人月
現在の中国外注単価を 30万円/人月

「国内下請け業者の整理整頓で200億円の外注費削減」「中国オフショア加速により100億円の外注費削減」という2つの目標を同時に達成するためには、国内外注比率と国内外注単価、そして中国オフショア比率と中国発注単価それぞれどの値に設定すればよいでしょうか?

SI開発コストを300億円削減 NEC http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20091017AT1D1101H16102009.html

NECは2010年3月期中に情報システム構築とソフトウエア開発のコストを前期比で300億円(連結ベース)削減する。下請け会社への発注の集約や、海外へのソフト開発委託を進める。同社は10年3月期中に連結ベースの資材調達費・外部発注費を前期比で約1割(2000億円)削減する収益改善策に取り組んでおり、その一環となる。
NECグループが取引するシステム構築・ソフト開発の下請け会社約2000社のうち、取引の多い約130社で組織する「NECソフトパートナー会」を発足させた。所属企業に業務を集中的に発注し、1社当たりの発注額を大幅に増やしながら発注単価を引き下げる。この分で200億円のコスト削減につなげる。さらに中国を中心に海外へのソフト開発委託を加速することで100億円の削減を目指す。(日経新聞 2009/10/17 07:00)

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日航国際線、関西国際空港-大連、関空-杭州を廃止

経営再建中の日本航空が、11年度末までの3年間で神戸や静岡、松本など国内7空港からの撤退を検討していることがわかった。神戸(神戸市)、静岡(静岡県牧之原市・島田市)、松本(長野県松本市)、広島西(広島市)、丘珠(札幌市)、奥尻(北海道奥尻町)、粟国(沖縄県粟国村)。ついでに、国際線は、関西国際空港-大連、関空-杭州、成田空港-ローマなどの路線を廃止する。(朝日新聞ほか)

静岡県側が出した搭乗率保証こそが、今年6月に開港した静岡空港へのJAL進出の決定打だったはず。ということは、新知事が搭乗率保証を減らしてきたのかもしれませんね。

日本の航空行政は魑魅魍魎としているので、素人にはさっぱりわかりません。とにかく、沖縄便を安くしてください。エアアジアやジェットスターの参入を望みます。

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/6/12)

●毎週金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けする。


・2009/6/1 - computerworld.com
Budget woes could boost government offshoring

保護主義的な動きを見せる米国の地方政府。


・2009/6/3 - オフショア大學
[アンケート] 日本的柔軟性や行間を読む力は「魅力的品質」か?

あるオフショア受託企業では、日本での勤務経験を持つ幹部を複数揃えていて、日本的な「お客様は神様」を合い言葉に臨機応変に対応する柔軟さを備えています。お客様が仕様書で表現できない「行間」を読んで、あうんの呼吸によってシステムを作り上げます。これは「魅力的品質」ですか? それとも「当たり前品質」ですか?

魅力的品質 (27票) 51%
当たり前品質 (18票) 34%
その他 ( 8票) 15%


・2009/6/5 - 日経ネット九州版
IT津梁パーク、沖縄・うるまに開業

当面は沖縄ソフトウェアセンターが本土企業からソフト開発を受注し、県内企業と共同でソフト開発する「オフショアセンター」として稼働。現在手掛けている事務処理関係のソフト開発だけでなく、今後は自動車や家電などに搭載する「組み込み系」と呼ばれるソフト開発にも乗り出す。来年度以降は完成したソフトにトラブルがないかをチェックする「テストセンター」の機能も加える。


・2009/6/5 - 野村総研
中国へのBPOを成功させるポイント ?データ入力業務のBPO経験から

1)早めに研修を実施
2)二重チェックなど品質確保の工夫
3)ある程度大きな業務のアウトソーシング
4)勤勉な中国人スタッフ


・2009/6/5 - ITpro
Japan to drive next phase of growth for Indian offshoring
industry

日本企業のR&Dがインドに向かう?

> Global 1000 R&D spenders: India Opportunity Identified
> http://www.zinnov.com/
> http://www.ciol.com/news/news-reports/zinnov-hosts-offshoring-rampd-in-bangalore/13308104430/0/


・2009/6/5 - Morocco Board News
OFFSHORING: HAMPERED BY SKILLS SHORTAGE IN MOROCCO

モロッコでは人件費の高騰が続き、オフショア受託国として正念場を迎える。


・2009/6/5 - Desiree van Gorp
Summary Offshoring in the service sector: An empirical
investigation on the offshoring behavior of service firms
and its influence on their foreign entry mode choice

調査レポートの概要紹介。


・2009/6/8 - ITmedia
中国政府、PCへのフィルタリングソフト搭載義務付けへ

2009年7月1日以降に中国で販売されるすべてのPCに、特定サイトをブロックするフィルタリングソフトのプリインストールが義務付けられるという。

> http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090611/331666/
> http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0612&f=national_0612_013.shtml


・2009/6/9 - オフショア大學
[アンケート] プロジェクト活動の計測化を阻害する要因

オフショア開発効率化のために、現場メンバーは毎日5分程度の工数データを入力します。細かい入力項目の選択肢は数十から数百もあります。あなたのご意見は?


・2009/6/10 - オフショア大學
オフショア抵抗勢力を懐柔するための人事マネジメント

・新しい人事マネジメント/人事制度の枠組み
・新しい人事制度がどのように「年功序列」や「成果主義」の問題点を解決しようとするか
・3つの戦略次元への処方箋


・2009/6/11 - 上海オフショア開発フォーラム
退会お申込みフォーム

※会則は(6章23条)と少ない為、5分程度で内容確認できます。


・2009/6/11 - Daily News & Analysis
BPOs to ramp up onsite presence

オフショアに移管された一部のBPO要員が国内に回帰する。その割合は、従来の90:10から80:20へ。


・2009/6/12 - Chian Press
中国、ソフトウェア産業の発展に5項目の措置

1)情報システム部門の独立促進
2)企業ソリューションの進歩
3)ソフトウェア産業の新たな成長分野の開拓
4)モデル地区、基幹企業を認証し、モデル事例を提示
5)健全な人材育成システムを構築


・2009/5/31 - エジプト情報通信技術省
The Shifting Geography of Offshoring

調査会社A.T.Kearney のレポート。20ページの大作。世界オフショア受託国のランキングに興味ある方は一読あれ。

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ウイークリーニュースダイジェスト(2009/6/5)

●毎週金曜日は、ウイークリーニュースダイジェストをお届けする。


・2009/6/1 - オフショア大學
[アンケート] オフショア切り出し判定基準

オフショア案件の切り出し/受託を検討する際に、最も重視する判断基準を挙げなさい。オフショア切り出し基準の「減点要因」と「加点要因」をそれぞれコメント欄に追記しなさい。


・2009/6/2 - Business Standard
IT Services: Go Local

Perceived till recently as low-budget and low-margin, the domestic market now means big business to Indian IT majors.


・2009/6/2 - ARN
IDC: IT outsourcing market to grow by $1.6 billion to 2013

Analyst firm predicts the Australian outsourcing market will grow to $8 billion by 2013


・2009/6/2 - The Times
Threat of tangle with outsourced IT

ITアウトソーシングの見直しに言及する2つのレポートがある
(1) Outsourcing in Difficult Times
(2) PA's international IT outsourcing survey 2009
アウトソーシング推進の理由はコスト削減だけではありません。それ以外にも26の理由があります。

参考:
Outsourcing in Difficult Times

What lies beneath - PA's international IT outsourcing survey
2009 (PA Consulting Group)


・2009/6/3 - オフショア大學
[アンケート] 日本的柔軟性や行間を読む力は「魅力的品質」か?

あるオフショア受託企業では、日本での勤務経験を持つ幹部を複数揃えていて、日本的な「お客様は神様」を合い言葉に臨機応変に対応する柔軟さを備えています。お客様が仕様書で表現できない「行間」を読んで、あうんの呼吸によってシステムを作り上げます。これは「魅力的品質」ですか? それとも「当たり前品質」ですか?


・2009/6/3 - The Global Sourcing Council
Global Sourcing Council 2009 summit

The 2009 Summit will examine how corporate sustainability creates stockholder value through the supply chain, especially in the area of global social responsibility.


・2009/6/4 - NIKKEI NET
ITと並び世界をめざすインドの製薬産業

世界経済のリセッションとは関係なく成長しているのが携帯電話市場である。昨年1年間で約60%の成長で、今年3月の1カ月間だけでも新規加入者数は1500万台を超えた。特に通信インフラ網の整備が進む地方での伸びが大きかったようだ。さらに今後、第3世代の携帯電話が普及し始めれば、ますます市場の拡大が期待できる。輸出一辺倒のIT企業は惨憺たる状況で、国内IT市場も広がらないなか、当面は携帯電話だけがハイテク市場を牽引していくようだ。


・2009/6/4 - the Wharton School
Is the U.S. Government's New Tax Proposal Just Political Rhetoric?

米国には“Bangalored”という形容詞があるらしい、アウトソーシングによって職を失ったと言う意味。


・2009/6/5 - The Malaysian Insider
The surprising strength of Southeast Asia

南アジアの明るい経済動向について。フィリピンセブ島のコールセンタではUS$470で勤務する29歳オペレータ。ベトナムは中国一辺倒からの逃避地として電子部品製造が成長。


・2009/6/5 - ITpro
高まる中国のRuby熱---上海で初のRuby会議,まつもと氏も講演

まつもと氏は「Why Ruby?」と題して講演。英語100枚のプレゼンテーション資料を使って日本語で話し,逐次通訳がまつもと氏の日本語を中国語に訳していく。最後は「Enjoy Programming」というスライドで締めくくった。直後,満場の拍手と,デジカメのフラッシュが会場を包んだ。

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